IoTという言葉を耳にしたことはあるでしょうか?今まで美容室ではデジタル化やIT化が遅れていましたが、最近になって急速に最新技術の導入が進んでいます。IoTもその一つで、続々と導入店舗が増えている注目の技術です。これを取り入れることにより顧客満足度アップやリピート率向上に繋がったり、生産性を上げて労働環境を改善したりすることができます。このコラムでは具体例を挙げながらIoT技術について簡単に解説していきます。

各業界で活用されているIoTとは

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この頃はAI(人工知能)を筆頭にさまざまな分野で機械化が一層進み、あらゆるものがインターネットに繋がるデジタル時代となりました。そう、文字通り多種多様なモノがインターネットに繋がり、離れた場所からもコントロールできる仕組みのことをInternet of thingsモノのインターネットと呼ぶのです。このシステムの略称がIoT(アイオーティー)であり、近年よく使われる言葉になっています。

少し前まではインターネットといえばコンピューターを繋ぐものでしかありませんでしたが、今は携帯電話やカーナビ、スピーカーや照明など、日常に溢れる多くのモノがインターネットに繋がれています。科学の発達が著しく、デジタル化の波に乗っている現代社会において、今後ますます多くのモノがインターネットに繋がるであろうことは想像に難くありません。

IoTを活用することによって離れた場所からでも様子を把握したり、操作したりすることができるため、今まで成し得なかったことを実現できるようになります。また、今までは感覚で判断していたこともデータで可視化することができ、生産性や品質の向上などの課題解決が期待できるでしょう。

そして、ついに美容業界でもIoT製品の導入が進んできました!人による作業に重きを置く美容業界は、他業界と比べてアナログ要素が強いです。しかし、探してみれば業務効率を改善したり、技術の精度を上げたりするためにデジタル化で対応できることは多々あります。ここからは、最近登場した2つの画期的な美容室向けIoT技術に着目してご紹介していきます。

似合わせから広告配信までできるミラーロイド

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引用:株式会社ミラーロイド「製品情報」

「世界を写し繋ぐ鏡」というコンセプトのもと、IoT技術を駆使して作られた最新型鏡がミラーロイドです。鏡がそのままディスプレイになるので、髪型やメイクのシミュレーションをしたり、着替えることなく試着したり、動画を流したりと、幅広い用途を持っています。そのため、美容業界に限らずフィットネスジムやアパレルショップ、ホテルなどでも利用できるのが特徴です。

この優れた技術を生み出した株式会社ミラーロイドは、韓国のスマートミラーを扱うメーカーとしてスタートした会社でした。このスマートミラーをさらに昇華させて、ミラーロイドという新しいオリジナル製品を作り出したのです。ミラーロイドを簡潔に表すならば「インターネット機能を搭載した鏡」であり、大きなタブレット端末とみなすこともできますが、その機能や果たす役割はタブレット端末の比ではありません。

お客様の人生をより豊かにし、美容室の地位や価値を高める力があります。では、ミラーロイドが美容室にどう貢献するのかを詳しく見ていきましょう。

ミラーロイドの機能と活用方法

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引用:株式会社ミラーロイド「製品情報」

上述したように、ミラーロイドはさまざまな分野で活躍できる汎用性の高い製品です。鏡を必要とするビジネスを中心に展開していますが、とりわけ力を入れているのがヘアサロン業界への普及活動。一般社団法人日本美容健康協会(JABHA)と共同で多くの美容室に広めています。というのも、近年はずっとオーバーストアと呼ばれるサロン飽和状態が続き、サロンジプシーの増加や客単価の低下、人材不足に伴う長時間労働などの問題が根付いてしまっているからです。

加えて、デジタル化やIT化が全体的に遅れており、なかなか業務改善に繋がらないという背景があります。このような問題を解決するためのツールとして注目されたのがミラーロイドでした。ここではミラーロイドの特長を3つに絞ってご紹介します。

ヘアスタイルのシミュレーション

ミラーロイドと連携するアプリを活用することで好みの髪型やカラーを見つけることができます。読み取ったお客様の姿をもとに髪色や長さ、前髪の流し方などを自由に変えながらお客様の理想のヘアスタイルを見つけられるので、カウンセリングの精度が格段に上がるのです。

雑誌やヘアカタログの写真を見てヘアスタイルを決めるお客様が多いと思いますが、いざ仕上がりを見てみると「なんだかイメージと違う」と内心がっかりする方も……。場合によってはお直しが必要になったり、失客してしまったりします。とはいえ、一人ひとり顔の形や骨格、雰囲気が異なるので、同じヘアスタイルにしても印象が違うのは当然のことです。

お客様に仕上がりのイメージを明確に提示し、本当に納得のいくスタイルを見つけるために、ミラーロイドは重要な役割を果たします。「好きな髪型」ではなく「似合う髪型」を分かりやすい形で提案できるのが、美容室におけるミラーロイドの大きな強みです。

ちなみに施術時の写真や動画は、お客様のスマートフォンにデータとして残すことができるので自宅での再現性が高くなり、よりお客様に喜ばれるでしょう。また、サロン側にも履歴として残しておけるため、簡単で分かりやすい顧客管理ができるのもポイントです。

店販やおすすめメニューの宣伝紹介

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鏡自体が一つの大きなディスプレイとなっているので、施術中の時間を利用して鏡で宣伝することができます。使い方次第ではイメージ広告としてもレスポンス広告としても活用可能です。たとえば、扱っている商品や売り出したいメニューを絞って常にその広告を流すとします。すると「いつ来てもこの商品が宣伝されているな。何だか良さそう」と印象付けることができ、場合によってはお客様から広告の内容が話題に出ることもあるでしょう。

あるいは、ミラーロイドによってお客様の頭皮や毛髪の状態を確認したうえで、お客様が抱える問題に特化した商品やメニューの広告を流します。そのうえで営業トークを展開すれば、より効果的なアピールができるので客単価アップに繋がりやすいです。このように、ミラーロイドはサロンや商品のイメージアップ、ひいては売上増加にも貢献できます。

待ち時間の楽しみ

広告を流せるということは、その他の動画も流せるということです。ミラーロイド自体がインターネットと繋がっているので、YouTubeなどを利用して動画をお客様にご覧いただけます。特にカラーやパーマの施術は待ち時間が長く、暇を持て余す方も多いので、楽しくお過ごしいただくための一つの手段として活用するのがおすすめです。

また、小さなお子様を施術する時にも大きな効果を発揮します。「親子で来店してもらえる美容室に!子どもが喜ぶサロンづくりでも子どもをじっとさせる方法として挙げている通り、落ち着きのない子どもの髪を安全かつ正確にカットするためには、動画を見せることが有効です。キッズカットのご予約が多いサロンで導入すれば、今までよりも施術がしやすくなるでしょう。

5分で髪質診断ができるスマートアナライザー

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引用:BeautyTech.jp「シュワルツコフの美容室向けIoT、5分で髪内部の状態を分析。世界に先駆け日本から」

ドイツの大手化学・消費財メーカーのヘンケルが日本の美容室にIoT産業を持ち込んでから、早一年が経とうとしています。どこの国よりも早く運用されたIoT技術の名はスマートアナライザー。その場で行う髪質診断によって、最適なメニューや商品を提案するというものです。従来のカウンセリングでは美容師が髪や頭皮の状態を確認し、自身が持つ経験に基づいて判断していました。

しかしスマートアナライザーの場合は、ドイツで集められた3万人の髪のデータと照らし合わせて、科学的根拠に基づいた判断が可能になります。そのため、お客様からの信頼や施術のクオリティを上げることに繋がるのです。特に、経験が浅い若手の美容師の中には、メニューの提案やおすすめ商品の紹介が得意でない人もいます。そのような人でも自信を持って提案できるようになるのが魅力です。

実際、お客様との会話が増えた、コミュニケーションの質が上がったという美容師の声が複数上がっています。このように具体的な根拠と質の高いコミュニケーションによって、分析結果をただ提示するだけではなく、お客様のライフスタイルやお悩み、ご要望に沿って、より個人に特化したサービスを提供できるのがスマートアナライザーの強みです。

スマートアナライザーの機能と活用方法

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引用:BeautyTech.jp「シュワルツコフの美容室向けIoT、5分で髪内部の状態を分析。世界に先駆け日本から」

まず、簡単な流れについてですが、スマートアナライザーを使うには、最初にお客様が髪の長さや太さ、お手入れ習慣などの質問に回答する必要があります。その後、美容師が頭の左右と後頭部の髪をスマートアナライザーに挟んで毛髪内部のシステイン酸量を測定し、ダメージ状態を読み取ります。

これらの情報は、IoT技術によってドイツの研究所に蓄積されたデータと結びつけながら分析され、5分後には診断結果がiPadの専用アプリに表示されるという仕組みです。

ちなみにスマートアナライザーは機能だけではなく、形や造りも優れています。非常にコンパクトで持ちやすく、スマートなデザインで使いやすいです。また、ドライヤー音や店内BGM、美容師やお客様の話し声など、美容室には雑音が溢れているため、測定終了時にはバイブレーションやランプ表示で知らせるように配慮されています。

肝心の診断結果内容ですが、これにはそのお客様に最適なサロンメニューや、髪質に合ったヘアケア商品、おすすめのホームケアも含まれています。これらの情報をもとに施術内容を決めたり、店販購入を促進したりできるので、お客様とのやり取りがスムーズになるだけでなく、無理のない自然な流れで営業トークに持ち込み、売上をアップさせることが可能になるのです。

さらに、専用アプリには診断結果や施術内容をその都度記録できるので、毛髪の変化を見ながら一人ひとりによりカスタマイズした提案ができます。つまり、リピート率アップにも貢献できるということです。IoTを活用した髪質診断の導入自体がサロンのブランディングになりますが、回数を重ねるごとに自分の毛髪のデータが増え、髪質の変化を客観的に実感することができるため、既存顧客の囲い込みに繋がります。

参考:BeautyTech.jp「シュワルツコフの美容室向けIoT、5分で髪内部の状態を分析。世界に先駆け日本から」

実際の導入例

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引用:Celeste 高田馬場店(Beauty Park掲載ページ)

先ほど述べた通り、スマートアナライザーはドイツで生まれたIoT技術です。しかし、本国のドイツに先駆けて一番に導入されたのは、日本国内でさまざまな事業を行っている株式会社Yʼs & partnersが手がける約50店舗の美容室でした。その理由は、日本の美容市場規模が世界トップレベルの大きさを誇ること、美容室におけるサービス品質が高いこと、お客様の評価基準が厳しいことの3つだそうです。

つまり、日本で認められればその他の国や地域でも成功するということ。そのため、どこよりも早く日本の美容室に導入されることになり、現在は地域密着型サロンCeleste(セレスト)やカラー専門店SPEEDY(スピーディー)、福岡特化型美容サロンOAK(オーク)など、全国の美容室で使用されています。

わずか5分で⽑髪内部のダメージを数値で可視化し、お客様自身にも髪の状態を実感していただけるので、利用者には好評を得ているようです。口コミ投稿者の中には、スマートアナライザーが目当てで来店した方もいました。

今後も高評価を得続けることができれば、株式会社Yʼs & partnersが運営する美容室以外でも続々と導入されるでしょう。ゆくゆくは他の国や地域にも広がっていくはずです。

参考:BeaUTOPIA「シュワルツコフの髪質測定マシン「スマートアナライザー」、Yʼs&partnersが全店導入」

IoTの導入を国が援助する助成金・補助金制度

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科学の発展が著しく進む現在、生産性向上や経済の活性化などを目的に技術開発や導入は積極的に支援されています。そのため、IoT製品の導入にかかる資金を一部または全額負担してくれる助成金・補助金制度もあるのです。その他にも生産性を上げる機器導入や雇用などに関わる支援制度も多数あります。

都道府県単位で資金のサポートを行っているので、IoTシステムの導入や、サロンオリジナルのIoTシステムの開発を検討しているオーナー様にとって最適な資金調達方法です。美容室だけでなく、エステサロンの肌診断機器のIoT化にも活用ができます。

ビューティーパークカレッジでは、助成金や補助金に関する最新情報をお届けする「助成金アシスト」サービスの提供も行っているので、ご興味のある方はリンク先から詳細をご覧ください。

IoT×美容室で美容業界の未来を創る

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美容師は自らの腕を頼みに仕事をするので、次世代型の技術導入やサロンワークのデジタル化に慎重な方が多い傾向があります。しかし、一度取り入れてしまえばその便利さに魅了され、独自のアイデアを盛り込んで新たな収益モデルを確立する方も少なくありません。

何か新しいことをしたいと考えている方は、この機会に思い切って一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。それによってサロンに新たな付加価値を付けることができます。ただ差別化を図れるというだけではなく、お客様やスタッフの満足度を高めることにも繋がるのです。ぜひ、あなたのサロンから美容室の未来を切り拓いていってください。

ちなみにIoTとは異なりますが、最新デジタルツールの一つにhairVRという美容師向け教育サービスがあります。以前知識コラムで扱っており、現在も無料キャンペーンを行っているのでぜひそちらも合わせてチェックしてください。

関連:「美容師向け教育サービス hairVR」