接客の基本は丁寧な言葉遣い!あなたは敬語に自信はありますか?敬語は勉強して学ぶだけでなく、上司や先輩から学ぶことも多いです。ですが、その教わった敬語は自己流の言葉だったり、地方でしか使わない方言や間違った言い回しだったりするかもしれません。そこで今回、常にお客様とのやり取り・会話が発生する美容サロンの接客の流れに即して、正しい敬語・NG表現をご紹介します。これさえ理解すれば恥をかくことはありません!

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なぜビジネス敬語が使えないといけないのか


学生の頃、国語の授業や社会学習などで敬語を学ぶ機会があったかと思います。敬語について勉強をする中で、「どうして敬語を使わなければいけないのか」、「言葉で人を上下に位置付けてよいのか」と、疑問を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

敬語とは読んで字のごとく、相手を敬う言葉です。単なる上下関係からでなく、相手の立場と自分の立場、役割を考慮して使われることもあります。サロンワークなどビジネスの場で、やり取りをする人に対して不快感を与えるような言葉を使うと会社の信頼に関わることがあるので、ビジネス敬語を使うことは社会で働く上で非常に重要です。

「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の違い


皆さんは仕事をする上で「敬語」を使っていますよね。その敬語にはいくつかの種類があります。

一つ目は尊敬語です。尊敬語は、相手の持ち物・動作に対して述べるときに使います。相手への敬意を表現する言葉です。二つ目は謙譲語です。謙譲語は、自分や身内に関わる持ち物・動作に対して述べるときに使います。自分についてへりくだった表現をします。三つ目は丁寧語です。丁寧語は、相手に敬意を払い、物事を丁寧に表現するときに使います。

接客時に気を付けたい敬語・マナー


予約から施術後までの流れに沿って、間違えやすい敬語表現を確認しましょう。なぜ不適切な表現・言葉であるかを合わせて理解することが大切です。

予約電話での会話

NG 「もしもし、ビューティーサロン○○です」
OK 「お電話ありがとうございます。ビューティーサロン○○の△△でございます」

ビジネス、仕事上の電話で「もしもし」を使うのはマナー違反とされています。サロンにかかってくる電話の内容は、お客様の予約だけでなく、セールスやビジネス上の取り引きといった、経営や金銭などに影響することが多いので慎重に対応しましょう。そして、最初は必ずお電話いただいたことに感謝の意を伝えるようにしましょう。

また、3コール以上待たせてしまった場合には、「お電話ありがとうございます」の代わりに「大変お待たせいたしました」とお詫びの言葉を忘れずに添えましょう。クレームや失客の原因にもなります。

NG 「ご予約はいつにしますか?」
OK 「ご予約のお日にちはお決まりですか?」

「いつにしますか?」だとぶっきらぼうな印象を与えてしまいます。よほど親しい間柄の方以外には使わないようにしましょう。

NG 「はい。確認しますのでお待ちください。」
OK 「かしこまりました。ただいま予約状況を確認いたしますので少々お待ちください。」

「かしこまりました」とは、「分かりました」という意味を持ち、相手の意見や指示を受け入れるときに使う敬語表現です。

お客様に待っていただくときは、ただ漠然と待っていただくよう伝えるのでなく、「少々」や「今しばらく」など、短い時間であることを伝えましょう。お客様の不安な気持ちを和らげることができます。

NG 「もしもし?声が聞こえにくいのですが……」
OK 「お客様、大変申し訳ございません。少しお電話が遠いようでございまして……」

前述の通り「もしもし」はマナー違反の言葉なので気を付けましょう。相手の声が小さい、周囲が騒がしく音が聞こえにくい状況でも、お客様に非があるような発言はしてはいけません。実際、サロン側の電話端末の調子が悪かったり、混線などの通話状況が影響したりして聞こえづらい場合もあります。声が聞こえにくい場合は、相手の非を責めるような表現は使わないように注意しましょう。

受付での会話

NG 「○○様でございますか?」
OK 「○○様でいらっしゃいますか?」

「ございます」は「ある」の丁寧語であり、さらに丁寧な表現として「です/ます」の代わりとしても使える言葉です。物や動作に対する丁寧語であり、尊敬語ではありません。したがって、人であるお客様に対して使うのは不適切です。「いる」の尊敬語である「いらっしゃいます」を使いましょう。

ちなみに、自身の名前を伝える場合に「○○でございます」という表現を使うことがあります。この場合は物に対する丁寧語を自分自身に使い、へりくだって発言することで相手を高める謙譲語の役割を持ちます。

NG 「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか」
OK 「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

お客様のお名前は受け渡しできるものではありませんので、「もらう」ことを意味する「頂戴する」はふさわしくありません。目上の人の意見を得る際は「伺う」を使いましょう。

席へ移動してから・施術中の会話

NG 「お座りください」
OK 「おかけください」

「お座り」は子どもや犬に対して使われるしつけの言葉なので、接客敬語としては不適切です。

「座る」ことは腰を掛けるという意味合いを含んでいるため、お客様に席に座っていただきたいときは「おかけください」を使いましょう。

NG 「本日の施術メニューは○○でよろしかったでしょうか?」
OK 「本日の施術メニューは○○でよろしいでしょうか?/お間違いございませんか?」

「よろしかった」は過去表現になりますので、今現在確認していることに対して使うのは不適切です。しかし、事前に電話やネット経由で既に施術メニューが決まっている場合に限っては、過去に選択いただいた内容で間違いないかの確認となるので、「よろしかったでしょうか」でも問題ありません。

NG 「カラーやデザインはどうしますか?」
OK 「カラーやデザインはいかがいたしますか?」

「いかがいたしますか」には相手がどうしたいのかお伺いを立てる意味合いがあります。そのためお客様など目上の方に対して「どうしますか」だと尊敬の意が欠けてしまうので、「いかがいたしますか」、「いかがいたしましょう」といった言葉を使いましょう。

NG 「お湯は熱くないですか?/痒いところはないですか?」
OK 「お湯加減はいかがでしょうか?/痒いところはございますか?」

美容師の方がお客様の髪を洗うときに必ず使う言葉です。ここでは自身の行動に問題がないか伺う場面になるので、お伺いを立てる敬語を使うのが適切です。

ちなみに「ございますか」という問いかけには「ある」という肯定的な意見を述べやすく、お客様が抱えている悩みを打ち明けやすい心理状態に導きます。反対に「ございませんか」という問いかけには「ない」という否定的な意見を引き出しやすい言葉になるので、お客様は思っていることを伝えきれず不満が残り、サロンにとって悪い印象を抱きかねません。

どちらも誤った敬語表現ではありませんが、サロンの印象をよくするためにも、お客様が意見を述べやすい雰囲気をつくれる言葉遣いを意識しましょう。

NG 「ご苦労様です」
OK 「お疲れ様です」

施術が終わった後にお客様へ一言かける際は「お疲れ様です」を使いましょう。「ご苦労様」は同僚や部下に使う言葉であって目上の人へ使う言葉ではありません。また、目上の人や取引先に対しても「お疲れ様です」は使えますが、挨拶として声をかける場合は「お世話になっております」が適切です。

お会計時の会話

NG 「お会計は○○円になります」
OK 「お会計は○○円でございます」

「~になります」は何かが変化したときに用いる言葉です。基本的に会計金額は変化するものではありませんよね。シンプルな言い切り表現を使い、お会計金額を提示しましょう。

NG 「一万円からお預かりいたします」
OK 「一万円お預かりいたします」

「~から」には動作や作用の起点、経由する場所、理由を示す言葉です。お会計の場合はそのいずれにも当てはまりませんので、「一万円から」という表現は不適切とされます。

また、NG表現は「一万円から〇〇円の代金をいただくためにお預かりいたします」の「○○円の代金をいただくために」を省略した言い方といわれています。ですが、わざわざお会計の際にそこまで細かな説明は行いませんので、簡潔に「一万円お預かりします」と言い切ったほうが良いでしょう。

NG 「○○円ちょうどお預かりいたします」
OK 「○○円ちょうど頂きます」

お会計金額にピッタリの支払いをされ、お釣りが発生しない場合はお客様に返すお金はありません。お返しするものがない場合は「お預かりいたします」ではなく「頂きます」を使いましょう。

「頂く」は物ももらう・食べる・飲むという動詞の謙譲語です。「サンプルをご覧いただく」や「サロンに来店いただく」といった補助動詞として使用する場合はひらがなを使います。

ちなみに「頂く」は自分主体の言葉ですが、与える側からの言葉で「くださる」という補助動詞があります。「くださる」は「与える」や「くれる」の尊敬語です。与える側からの状況を説明する際は「くださる」という言葉が適切です。この場合も「下さる」ではなく、ひらがなを使用します。

NG 「領収書のお返しです」
OK 「領収書でございます」

領収書はお客様から預かったものではないので「お返しです」は不適切です。

職場で気を付けたい敬語・マナー


美容サロンは華々しい雰囲気を演出している反面、スタッフの上下関係は体育会系の厳しいもの。新入社員や若手スタッフは敬語についても指導を受けることがあるのではないでしょうか。会話の中でついつい使いがちな、敬語のようで敬語ではない言葉をご紹介します。

NG 「了解しました」
OK 「承知しました」、「かしこまりました」

「了解しました」は丁寧語ですが、同僚や部下に使う言葉であって目上の人へ使う言葉ではありません。謙譲語の「承知する」を使うように気を付けましょう。

また、最近は「かしこまりました」を「畏まりました」と漢字で書く人が増えていますが、これもパソコンやスマートフォンの変換機能が発達し、頼るようになった人が増えてきたことが理由だといわれています。ビジネス上は読み手のことを考え、読みづらい・読めない漢字を避けたほうが好ましいのでひらがなでの表記を使いましょう。

NG 「参考になりました」、「なるほどですね」
OK 「勉強になりました」

「参考」という言葉は、何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料をいう意味があります。つまり、目上の人に対して「あなたの意見は自分の判断材料の一つに過ぎない」というニュアンスが含まれるため、大変失礼な言葉となります。

「なるほどですね」の「なるほど」は目上の人が目下の人に使う言葉ですので、目上の人に対して使う敬語として不適切です。また、「なるほど」は副詞ですので、後に「ですね」を使うことは出来ません。

敬語に言い換えるのであれば、「勉強になりました」以外に、「はい」、「分かりました」、「承知しました」、「おっしゃる通りです」などが活用できます。

NG 「お越しになられる」
OK 「お越しになりました」、「お見えになりました」、「いらっしゃいました」

先輩スタッフを指名で予約されたお客様が来店したことを伝えるときに、つい言ってしまってはいませんか?

「お越しになられる」は「お越しになる」と「~する」のふたつ尊敬語を組み合わせた言葉、つまり二重敬語になります。二重敬語は慇懃無礼、丁寧過ぎて逆に無礼で嫌味な言い方だと捉えられますので注意しましょう。

ビジネスにおいても気を付けたい お礼状やメールのマナー


お客様が来店された翌日や、会議やミーティングを終えた後に送りたいお礼のメッセージ。お礼のメッセージを送ることでお客様や取引先との信頼関係を深めることができます。ここでは言葉遣いと併せて漢字表現とひらがな表現のどちらが適切であるかをご紹介します。

NG 「有難う御座います」
OK 「ありがとうございます」

「有難う」というのは、本来神仏に向けて使われる言葉でした。「有ることが難しい」=「滅多にないこと」という意味を持つので、「ありえないこと」を表現することになります。そのためここで本来伝えたい意味とは別の意味合いを持ってしまいます。

近年パソコンの変換機能に頼り切る人が増え、「有難う御座います」という表現を目にすることが多くなったと言われていますが、やはり違和感を覚える人が多いので、ビジネス上のやり取りではひらがなで書くようにしましょう。

NG 「宜しく御願い致します」
OK 「よろしくお願いいたします」

「よろしく」の漢字表記は「宜しく」ですが、これは常用漢字ではありません。ただの当て字として使われるようになった慣習的なものですので、ビジネスやお礼のメッセージには使わないようにしましょう。

公用文では「御」は後に漢字の語がくる場合に用い、「ご」は後に平仮名の語がくる場合に用いられますが、「御」に「お」の読みはないとされています。このルールに従うと「お願い」の「お」はひらがなが適切です。

「致す」は動詞の用法で「届くようにする」、「全力で事を行う」という意味を持ちますが、そのことがもとで、ある結果、特によくない結果を引き起こすという意味も含まれます。反対に、「いたす」は補助動詞「する」の謙譲語・丁寧語で、相手への敬意を払った言葉です。よって「よろしくお願いいたします」が正しい使い方となります。

メールの署名は集客やビジネスチャンスに繋がる


メールの最後に署名を記載していますか?メールの署名には会社や店舗の情報、発信者・担当者の氏名、連絡先などの情報を伝える重要な役割があります。最近では予約フォームやホームページ、SNS、期間限定のキャンペーン情報を盛り込んでいるサロンも増えてきました。

対面での面識があっても、署名のないメールを送ると相手に不信感を与えてしまうこともあります。お互いの業務を円滑に進める為にも、最低でも店舗名・氏名・店舗住所・電話番号の4点は必ず署名欄に明記しておきましょう。今回、美容サロンの基本の署名テンプレートをご紹介します。お客様宛て、取引先宛てにカスタムして活用してください。

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ヘアサロン ビューティーパーク
店長 ○○ ○○

店舗住所:〒000-0000 ○○県○○市○○1-2-3 ○○ビル2階
電話番号:00-0000-0000(電話対応時間0:00-0:00)
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敬語を適切に使って魅力的なサロンづくりを


最初から敬語が完璧な人はいません。なぜなら新入社員や若手スタッフは、経営者や先輩従業員の姿振る舞いを見て「マナー」や「言葉遣い」を学び、身につけていくからです。オーナーやスタッフが敬語を誤用したまま使うと、サロン自体の評価が落ちる一因にもなります。言葉遣いひとつで個人やサロンの品位が問われるので、曖昧なまま放置しないように気を付けましょう。

敬語は自分より年下だから、学生だから使わなくてよいという事はありません。お客様の対応に差を付けず、平等に接することが接客業のプロです。また、必要以上に敬語を乱用すると、かえって相手に不信感を与えることもあります。相手の個性や考え方を尊重し、お互いを敬いあえる関係性を築けるコミュニケーションを取れるように頑張ってください。

参考:文化庁「敬語おもしろ相談室」
参考:goo国語辞典