美容サロンを開業・経営するうえで、集客や資金調達、経営知識や人材など、オーナーが頭を抱える悩みは絶えません。そんな様々な悩みに対して活用してほしいのが助成金!中小企業向けの資金調達方法として有名ですが、美容サロンでの活用方法はあまり耳にしません。でも、実は経営が好調なサロンではこっそり申請・受給をしているのです!国の制度を上手く活用し、例にならって快適なサロン・労働環境・サービス向上に務めましょう!

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サロンオーナーの苦労

新規開業時に苦労したことについて、日本政策金融公庫より調査結果が公表されています。昨年2019年度に開業した人の半数が、顧客・販路の開拓と資金繰り、資金調達について苦労したと答えています。また、今現在も苦労していることをみても、この二つの回答の割合はとても高いです。

開業時の資金調達額は平均で1,237万円と、調査開始以来最も少ない結果であり、4割が500万以下の費用で開業しています。費用資金繰りの苦労はこのように金額の面にも現れています。

開業してから経営をしているうちに、「資金繰り、資金調達」「財務・税務・法務にする知識の不足」などの苦労は減少していますが、一方で、「従業員の確保」「従業員教育、人材育成」といった人材に関する課題を挙げる企業が増加しています。経営を学ぶにも、従業員を雇用・教育するにも、潤沢な資金があれば課題解決が可能です。新人経営者にもベテラン経営者にも国の制度である助成金をどんどん活用していただきたいところです。

参考:日本政策金融金庫 新規事業に関する調査 (2019年度新規開業実態調査)

助成金と補助金の違いとは?

以前公開した助成金コラム申請しないと損をする!美容サロンで使える返済不要の助成金とはでも説明させていただいた助成金と補助金の違いについて、再度確認しましょう。

助成金は厚生労働省が管轄

助成金とは、雇用分野の支援をする制度です。(雇用・労働環境の改善)

「店舗拡大をしたいから求人を出して、人材を増やしたい。」「優秀なアルバイトを正社員として雇用したい。」といった、人材雇用の悩みを解決するのに最適な資金援助の制度です。

他にも産休・育休取得をしているスタッフや障碍者の雇用をしている企業向けの支援や、技術力向上のための能力開発の援助など多数あり、美容サロンで絶えない「人材不足」の改善が見込める内容となっています。人材確保のためだけでなく、生産性向上のための工夫や今サロンで働いてくれているスタッフの賃金アップにおける助成も豊富にあります。

補助金は経済産業省や地方自治体などが管轄

補助金とは設備投資など事業を支援する制度です。(経済・地域活性化)

「サロンの老朽化した設備を新しくしたい。」「商店街の発展のために貢献したい。」といった設備投資の支援、事業をサポートするための制度です。

商店街や地方の活性化を狙ったものだけでなく、地球温暖化対策・二酸化炭素の排出量削減といった環境保全に繋がる事業への援助も、この補助金が受給できるようになっています。自治体によっては新店舗の出店や店舗の移転でかかる費用も、支援が受けられることもあります。最近では、空き家・空き店舗の活用を促す地方自治体が多く見受けられます。地方にも店舗を出したい!地元に帰って独立をしたい!といった方にも最適なものが多いです。

助成金申請の条件とは?

助成金の申請は要件を満たしておけばほぼ承認されるので、助成金の受給が可能です。大前提として、労働保険に加入しておくことが申請の条件となります!また、就業規則や出勤簿、賃金台帳、労働契約書、事業計画書などの提出を求められることがあるので、しっかりと整備しておきましょう。サロン従業員への周知・理解を得ることも忘れずに・・・

綿密に作成することで、最悪申請が通らなかったとしても、これまでの経営状況を振り返ることや、事業内容をブラッシュアップすることができるので、健康サロン経営に一歩前進することができます。

美容サロンに置ける助成金事例

実際に助成金や補助金について一番気になるところは、どのような事例・活用方法があるのか、ではないでしょうか?メジャーな補助金の事例を見ていると、工場での生産や研究・開発、ITといった業種にまつわる事例がほとんどで、美容業界での活用実績はなかなか目にしないのではないでしょうか?

ビューティーパークカレッジで調査をしたところ、美容サロンで実際に活用された事例が複数ございました!今回は業務改善助成金を申請・受給したサロンの事例の一部をご紹介します!

業務改善助成金とは

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行った場合に、その費用の一部を助成してもらえる制度です。美容業界だけでなく、建設業・飲食業・小売店・社会保険労務士事務所などでも申請・受給の実績があります。

ヘアサロン・美容室での助成金活用事例

まずは、宮城県労働局より公開された美容院での助成金活用事例を紹介します。
宮城県のとある美容院では業務改善助成金を活用して2種類の機器を導入しました。

ひとつはデジタルパーマ機です。このサロンの従来のパーマ機ではシャンプー、カット、パーマ、セット、仕上げまで約2時間半かかっており、そのうちの1時間半はパーマに費やされていました。この施術にかかる時間の長さがネックとなり、パーマを敬遠されるお客様がいらっしゃり、従業員の労働面での負担も多かったため、時間外労働・残業をせざるを得ない状況でした。

そこでデジタルパーマ機を導入したところ、90分かかっていた施術時間を50分短縮することに成功!従来の半分以下の40分という短い時間でパーマがかけられるということで、パーマを希望されるお客様が増え、予約数・売り上げも伸びるという成果を出されました。また、時間外労働の削減にも繋がりました!

もうひとつは全自動洗濯機です。お客様1人あたりに使用するタオルの量は約5枚。集客が増えれば増えるほど洗濯物は増え、洗って、干して、畳んで、収納しての繰り返し。日中はお客様の対応や施術に集中しているため、洗濯作業は時間外労働になりがちだったそうです。そこで洗濯から乾燥までこなしてくれる全自動洗濯乾燥機を導入!

洗濯乾燥機を導入したことで、洗濯作業時間の削減に繋がり労働生産性が向上したため、従業員の時給を40円引き上げることもできました。また、従来の洗濯機ではタオルに髪が残ることもあったそうですが、導入機器ではほとんどなく、些細なストレスの解消にも繋がったようです。

▼業務改善助成金を申請・活用したサロンの基本情報はこちら
・従業員数 3
・引き上げ前の時給 宮城県の最低賃金
・設備導入に要した費用 575,424
・助成金額 431,000

参考:宮城労働局 労働関係助成金 関係資料 「業務改善助成金活用事例~「働き方改革」の推進を目指して~ 」

エステサロンの助成金活用事例

次に、茨城県労働局より公開された美容院での助成金活用事例を紹介します。
茨城県のとあるエステサロンでも業務改善助成金を活用して機器を導入しました。

このエステサロンでは、施術内容ごとにお客様に部屋を移動してもらっており、手間と時間がかかっていました。そこで、5つの施術機能を持った最新機械を導入し、移動の手間をなくして短時間で効率的に結果を出し、それによってお客様へのサービス向上を図ろうと計画されていました。

短時間で施術できるようになってからは、お客様からの評判が上がり、スタッフも施術を勧めやすくなり、売り上げを増やすことに成功しました。施術時間が大幅に短縮されたため、事務作業に時間を割くことができたとのことです。併せて今までの仕事の洗い出しや見直しをするきっかけともなり、サロンスタッフ全員で話しあうことで、改善点や伸ばしていくべき点が明確になり、認識の共有も可能となったそうです。

このサロンでは、サロンにおける最低賃金である時間給750円を初年度に40円、2年目に40円アップし、2年間で80 円に引き上げることができました。

▼業務改善助成金を申請・活用したサロンの基本情報はこちら
・従業員数 10人未満
・引き上げ前の時給 750
・改善に要した費用 220 万円
・助成金額 100 万円

参考:茨城労働局「2012年07月04日業務改善助成金 活用事例集について」

その他の活用事例

上記以外にも人工炭酸水システムやスチーム機といった美容関連の機器だけでなく、駐車場等の除雪作業時間の削減のための小型静音除雪機の導入にも活用されています。

また、機器の導入だけでなく、作業効率化のためのレイアウトの変更や、個室ブースの増設といった設備投資や、予約システム・顧客管理システム・売上管理システムの導入にも活用されています。

※あくまでも活用事例の為、支給金額や条件は異なる場合がございます。

参考:厚生労働省「[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援 助成事例」

美容サロンで申請できるメジャーな助成金制度

では、ビューティーパークカレッジが収集している助成金・補助金・貸付金などの情報をピックアップしてご紹介します。

※支給金額や条件は制度によって異なります。

ャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用の労働者(有期契約労働者等)の企業内でのキャリアアップを促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。

この助成金には7種のコースがあり、雇用転換や健康診断制度の規定、社会保険適用になった場合などのシーンで活用できます。優秀なパートやアルバイトを正社員雇用しようと検討されている方に最適です!

企業活力強化資金(企業活力強化貸付)

企業活力強化資金(企業活力強化貸付)とは、日本政策金融公庫による融資です。サービス業だけでなく、卸売業・小売業・飲食サービス業などの事業経営者であれば利用できます。

融資の限度額は7,200万円となっており、設備の取得(店舗、仕入・配送・販売設備など)、ショッピングセンターや空き家への入居、人材確保(運転資金のみ)に使用できる制度です。新店舗の出店や改修を検討されている方に最適です!

東京都働くパパママ育休取得応援奨励金

東京都働くパパママ育休取得応援奨励金とは、東京都が(公財)東京しごと財団と連携して、育児中の従業員の就業継続や男性従業員の育児休業取得を応援する企業に対して奨励金を支給する制度です。働くママコース・働くパパコースの2つのコースがあり、男性の育休取得率の向上と、女性の活躍推進を後押ししています。

こちらの奨励金制度は東京都内限定ではありますが、地方自治体によって類似の支援内容の制度が数多く存在します。ビューティーパークカレッジでは、そのような地方のメジャーでない制度のご紹介が可能です。

その他、補助金に関しては人気コラム災害補助金だけじゃない!防災補助金を活用した美容サロンの防災計画をご覧ください。

最新!新型コロナウイルスに関する金融支援情報

2019年12月以降中華人民共和国湖北省武漢市において、新型コロナウイルス感染症の発生が複数報告されて以来、世界各地で患者発生報告が続き混乱を招いています。そして、日本ではウイルス感染を防ぐために、国外からのお客様をお断りしている企業が増えてきています。

そのような状況下ではありますが、現在日本では今年2020年に開催される東京オリンピックや、2023年に開催される大阪万博に向けて多くの業界でインバウンド対策が講じられており、訪日客の購買力を頼りに経営を成り立てている企業が多く存在しております。そのような経営状態でインバウンド集客が得られない・断るとなると、大幅な売上減少という問題が生じ、経営危機に陥る恐れが出てきます。

事実、大手百貨店では既に免税売り上げが前年比マイナス5%~15%という、春節商戦に冷や水をかける結果となっており、日本経済に影響が出ています。この経済への打撃は大手企業だけでなく、中小企業・美容サロンにとっても大きな問題となっています・・・

しかし!感傷に浸っている場合ではありません!既に地方自治体によっては新型コロナウイルスによる売上への影響を受けた中小企業への支援が始まっているのです!同ウイルスにより事業活動に影響が出ている皆様は、是非活用のご検討をしてください。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
参考:首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」
参考:Yahoo!ニュース「春節売り上げ減少、新型肺炎の拡大で 百貨店の令和2年1月売上速報(産経新聞)」

経営者には効率の良い情報収集力が求められている

経営者は開業時に経営資金を確保しておくことも重要ですが、経営の過程で、あらゆる場面で資金が必要となってきます。このご時世、黒字営業がずっと続くわけではありません。イレギュラー時に頼れる経営資金として、借金ではなく国の事業である助成金や、地方自治体による補助金制度を上手く活用していきましょう。

予期せぬ事態・被害を受けた直後は、情報が交錯していることもあり、行政からどのような支援が受けられるのか分からぬまま経営が悪化してしまう中小企業は数多く存在します。そのような緊急事態にも備えて、経済的支援の情報はしっかりと収集しておくことが重要です。

ビューティーパークカレッジでは経営者の皆様にお力添えができるよう、助成金や補助金に関する情報も収集しております。何かやってみたいことがある方は、ぜひこの機会にご相談ください。お問い合わせお待ちしております。