サロンを運営する中でたびたび遭遇するノーショウやドタキャン。本当なら得られたはずの売上が無くなってしまうばかりか、その人の予約が入っていなければ別のお客様が来てくれたかもしれないことを考えるとダメージは計り知れません……。過去のコラムでも折に触れて防止策を述べてきましたが、今回は最新の時事ネタと共に対策法完全版をお届けします!

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無断キャンセルが刑事事件になる!お客様の認識を改める転換期到来!!

2019年11月に飲食店の無断キャンセルをした男性が業務妨害の容疑で逮捕されました。容疑者は高額なメニューを大人数分予約しておきながら、最後まで店に来ないという無断キャンセルを他の店でもした疑いがあり、明らかな悪意を持って店側に損失を与えたと思われます。店側の届けによると、系列5店舗で計75人分、総額約51万円の無断キャンセルがあったそうです。

参考:産経新聞「居酒屋無断キャンセル、業務妨害容疑で59歳男を逮捕」
参考:日経新聞「居酒屋の予約、無断キャンセル疑い 男を逮捕」

さまざまな記事で取り上げられたこの事件は、飲食業を始めとするサービス業界に大きな影響を及ぼしたと考えられます。

この容疑者は故意に高額の無断キャンセルをしましたが、店舗に損失を与えるという点では、一般の消費者が軽い気持ちで行っている無断キャンセルも同様です。無断キャンセルやドタキャンによって、本来発生するはずだった料金以上の損害があることを、正しく理解してくれる消費者はこの報道を機に増えたでしょう。

また、無断キャンセルが業務妨害として警察に認められ、実際に逮捕されたことで、悪質なユーザーは減少したと思われます。ノーショウ(予約時間を過ぎても連絡せず、最後まで現れない人)を防止する大きな抑止力になったことでしょう。

わざとでなかったとしても、今まで飲食店や美容系サロン等を軽視して無断キャンセルをしていた人の認識を改めるのにも十分です。ともすれば刑事事件になりかねない、無断キャンセルは犯罪である、ということが広く知られたため、今後はキャンセルするにしても連絡をする人が増えると思われます。

さらに、これまでよりもキャンセル料の設置や請求がしやすくなったため、店側の損失を最小限に抑えられると期待できます。ホテルの予約や旅行の予約などは事前に契約文面の提示があり、それに同意したうえで予約するため、キャンセル料の支払いはもとより、前払いやデポジット(預り金)にも応じてもらいやすいです。しかし、サロンは気軽に行けるのが魅力というのもあり、契約を結んだという意識が低いお客様がほとんどだと思います。予約した時点で契約が成立しているのだと分かってもらうためにも、良い機会なのではないでしょうか。

無断キャンセルや遅刻を未然に防ぐ3つのポイント!

①予約の再確認を徹底する

キャンセルをされる理由のうち、「そもそも予約したことを忘れていた」というのが少なくありません。これはすぐにでも対策できます。事前にこちらから確認の連絡を入れれば良いのです。その際、可能であれば電話を推奨します。多少なりとも相手が垣間見えるため、電話で話した方が「何となく」のキャンセルを防止できるからです。また、電話であれば事前にお客様の細かい要望を聞けたり、来る際に気を付けてほしい留意点を伝えられたりします。

ただし電話対応があまりにも雑だと、サロンに対する不信感を抱かせてしまうことになるので注意しましょう。相手が見えていなくとも笑顔でハキハキと話してください。また、日時だけでなく、施術内容や料金についても詳細に説明するとお客様の不安を拭えるので、特に新規の方には丁寧に接しましょう。

電話が繋がらない、電話する時間を取るのが難しい、という場合には、リマインドメールを前日までに送れば大丈夫です。名前と日時、メニュー名や料金だけ入れ替えられるテンプレートを作っておくと便利ですよ!その際に、サロン付近の略地図を添付しておくと親切です。これで、道に迷っての遅刻も少し減らせます。

②遅刻・キャンセル規定の明文化

よくあるのが「当日の状況により予約時間より少しでも遅れる場合は、ご連絡ください」、「15分以上遅れる場合は施術をお断りさせていただくか、メニューの一部または全部を変更させてもらうことがあります」といった文言です。

そして、このような規定をつくったからにはサロン側もこのルールを守らなければなりません。予約時間を過ぎても来ない場合は、こちら側から電話で確認を取ってみましょう。また、たとえ遅刻したお客様が常連や大口顧客だったとしても、後に予約が詰まっているなら毅然とした態度で対応してください。それがお店の信頼に繋がります。

キャンセルについてもきちんと決まりを作っておくと良いでしょう。一番初めに述べた通り、キャンセルは契約不履行と同義です。日時やメニュー、料金などの予約内容を明確にしたうえで予約したのなら、その時点で既に契約は成立しています。であれば、安易な理由でのキャンセルを防ぐために、キャンセルポリシーを明記しておくべきだと思います。実際にキャンセル料を請求することはなくても、抑止力として、また何かあった時のための盾として使えるからです。ホームページやポータルサイトの店舗ページに分かりやすく記載しておきましょう。

とはいえ、キャンセル料を取られる可能性があるからと、そもそも別のサロンで予約してしまうお客様が出てくるかもしれません。きちんとご来店くださるお客様が大半でしょうから、予約が減ってしまうリスクは避けたいですよね……。ですがキャンセルのリスクを避けたいというのも本音。よって、キャンセルポリシーに条件付けをすれば、どちらのリスクも軽減できます!

「当日キャンセル:50%」「前日キャンセル:30%」と、こんな風にまずは段階的にキャンセル料を設定します。しかし、どうしても急に予定が狂ってしまうことはあるので、「やむを得ない事情の場合に限り、キャンセル料は頂きません」と記載しておけば無断キャンセル及び離客を防げます。体調不良や冠婚葬祭、電車の遅延などであれば、予約した本人にとっても不測の事態であり、どうしようもできないことですから、そこは寛容に受け止めましょう。

あるいは、無断キャンセルの場合や2回以上当日キャンセルをしたお客様に限定してキャンセル料を頂くというのも考えられます。

ちなみに上記で例示した額は、キャンセル料を取っている美容系サロンの相場くらいです。独自にキャンセル料を設定する際には、消費者契約法特定商取引法に従って決めましょう。法律を無視した金額にしてしまうと、トラブルになった際に無効とされてしまう恐れがあります。

このキャンセルポリシーを最大限に活かすために、先に述べた予約確認の連絡は三日前以前に行うのが理想でしょう。連絡の際に一言「予約日前日以降のキャンセルは、原則キャンセル料がかかってしまいます。ご都合が悪くなった場合はお早めにお知らせください」と声掛けしておくと良いですね。

参考:消費者庁「消費者契約法」
参考:消費者庁「特定商取引法ガイド」

③キャンセルの連絡をしやすい仕組みの整備

無断キャンセルやドタキャンを防ぐために、お客様からいつでも連絡できる体制を整えておくのは大切なことです。キャンセル料を設定しているなら、なおさら必須と言えます。前日には急用が入ることが分かっていたのに、サロンの閉店後だったから結局連絡できなかった、ということも有り得るからです。考えられる主な連絡手段としてはメールかLINE公式アカウント、HPからのお問い合わせフォームが挙げられます。

特にGoogleYahooのメールアドレスを使えば複数端末からアクセスできるので、責任者の方がサロン外でも対応する場合に便利です。LINE公式アカウントも複数端末で利用できますが、メンバーごとに異なる権限を与えることができるので、複数人での管理・共有に最適でしょう。お問い合わせフォームの場合は、自分のアドレスに内容を転送することで、連絡があったことは確認できますが、返信はできないことが多いので、自宅サロン向きです。

どの手段を用いるにせよ、お客様が使いやすい方が良いので、サロンの顧客層を鑑みて決めたり、あるいは複数の連絡手段を設けて置いたりすると、より連絡しやすいです。そして、気づいたらなるべく早く返信してあげるとお客様も安心できると思います。

キャンセルの連絡を受けた場合、別日で予約を取り直せないか確認し、すぐにスケジュール調整をしておくと損失を抑えられるので、キャンセル自体はショックだと思いますが、フォローも意識してみましょう。

ピンチをチャンスに!無断キャンセルによる損失を抑えるには

どんな理由があるにせよ、キャンセルが出てしまったらその時点でサロン側の不利益になってしまいます。これを修正するために、なるべく空き枠を埋められるようにしましょう。たとえば、ホームページやSNS、各ポータルサイトのページに「本日空きアリ!」、「〇月〇日△時の予約受付中!」などと入れ、予約状況を随時更新していくのも一つの手です。

また、キャンセル待ちの仕組みを作っておくことで、急な空きにも対応できることがあります。外部のサービスを利用しなくても、きちんと顧客管理をしていれば簡単にできることなので、まだ導入していないサロンはキャンセル待ちの仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。

もし、キャンセル待ちの登録がなかった場合でも、まだ努力はできます!以前、予約をしたいと言ってくれたけれど空きがなくて予約できなかったお客様はいませんか?思い切ってそういう方にアプローチしてみるのも有効です。

「以前、ご連絡いただいた際には空席が用意できず申し訳ございませんでした。急ではあるのですが、〇月〇日△時に空きができたので、よろしければ改めてご予約をお受けできればと思い、連絡したのですが○○様のご都合はいかがでしょうか?」といった風に電話やメールでお伺いを立てると良いと思います。なるべく損失を出さないように頑張りましょう!

離客や悪評を防ぐために気を付けたいお客様対応

遅刻やキャンセルに関して、サロン側に落ち度はありません。しかし、だからといって高圧的な態度を取ったり、理由を聞くこともなく出禁にしたりするのは違います。対応の仕方を誤るとクレームのもとにもなるので、最後にサロン側が気を付けるべきことについてまとめました。

冷淡と冷静は違う

サロンを運営していく中で避けられないこととはいえ、ドタキャンやノーショウは大きな痛手ですよね。経済的なダメージもありますが、精神的にもつらいと思います……。しかし、そこはプロですからお客様の前で態度に出してはいけません。また来てくれるかもしれないお客様ですし、冷たい態度を取らないように気を付けましょう。俗に言う塩対応というやつです。「来ないなら客じゃない!」とでも言わんばかりの嫌味な態度を取られたり、激しく説教されたりしたら、誰だって行きたくなくなりますよね。

キャンセルの連絡や大幅な遅刻があっても冷静に、まずは相手に理由を尋ねましょう。それが明らかに言い訳じみていたり、理不尽な理由だったりするのであれば、サロンの印象が悪くならない程度にたしなめるのが正解です。

融通が利かない頑固サロンにはならない

キャンセルポリシーの設定でも述べた通り、やむを得ずにキャンセルされるお客様もいます。それを理解せず「決まりですから」とマニュアル通りの対応をしていたのでは、お客様の不評を買ってしまいます。大きな痛手ではあるものの、事情が事情ならそれを汲み取って臨機応変に対応する寛容さも必要です。

根拠のないNGはトラブルのもと!

よく遅刻してくるお客様や何度もドタキャンするお客様に対して、キャンセル料を請求したり、一週間より前に予約を取れなくしたり、果ては出禁にしたりといった対応をせざるを得ない状況が来るかもしれません。そんな時、ただ口頭で説明しただけでは説得力に欠けますし、万が一訴訟になった場合には大変不利です。ですから、来店時刻やキャンセル日時・回数といったことはきちんと記録を付けておきましょう。証拠となる資料があればクレーム防止になる他、もしトラブルに巻き込まれた場合にもサロンを守ることができます。

トラブル対策として予約時の情報を管理しておくことも大切です。電話対応時に役立つヒアリングシートをネット予約?電話予約?各予約方法のメリット・デメリットのコラムに掲載していますので、合わせて活用してみてください。

サロン側の遅刻やミスに注意

お客様には厳しい遅刻規定を課しているのに、サロン側の不手際でお客様を待たせてしまうサロンの話をたびたび耳にします。それでは遅刻やキャンセルによるペナルティを設定していても何の説得力もありません。筋の通った営業をしましょう。

施術が始まる前だけでなく、施術中も長時間放っておかれるところもあるそうです。皆さんのサロンは大丈夫ですか?お互いの信頼関係を崩さないためにも、時間の管理には気を付けたいですね。

無断キャンセルや遅刻による被害を抑え、効率よく売り上げを作る

さて、今回のコラムはいかがだったでしょうか?切っても切り離せない遅刻・キャンセル問題ですが、サロンの努力次第でお客様への意識付けができたり、損失を取り返したりできます。自分たちや他のお客様の時間を無駄なく使い、利益を最大化するためにもできる対策は早めに取っておきましょう!

今回のコラムの中で疑問に思ったことや気になったことなどがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。また、サロンの運営に関する相談等も随時受け付けています。サロンでのあれこれに困ったらビューティーパークカレッジまでお問い合わせください!