「サロンでの収益が上がらない」、「なかなかリピート客を増やせない」とお悩みの方、新しい試みを始めてみませんか?サロンに異なる業態を取り入れるのです。特に開業しやすいのはカフェであり、美容サロンと併設してカフェをつくる店舗がちらほら見受けられます。どちらか片方で集客すれば自然と両方に利益が出るようなシステム作りをしましょう。今回はカフェを併設し売り上げを出す方法と、成功しているサロンを紹介していきます。

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カフェ併設サロンのメリット

最近は美容室とネイルサロン、エステサロンとまつエクサロンなど、異なる業態の店舗が一緒に営業しているサロンが増えてきました。それに伴って、美容サロン以外を併設するサロンも出てきています。併設するものとして人気なのがカフェです。カフェは狭いスペースでも営業できるうえ、少ないメニューでも成立するので人件費や材料費を節約でき、開業しやすいという特徴があります。また、待ち合わせまでの時間つぶしや休憩でも利用する人が多いため、時間を問わずに集客しやすいです。これらの理由からカフェは飲食店未経験でも始めやすく、開業希望者に人気があります。

カフェを併設するメリットはそれだけではありません。まず何よりもプラスアルファの売り上げが作れます。サービスドリンクとは別に有料のドリンクを設ければ、予約までの待ち時間や施術終わりにカフェを利用したり、パーマやカラーなどの時間がかかる施術の間に注文したりするお客様が出てくるでしょう。

また、カフェスペースでサロンの雰囲気に合ったイベントやワークショップを開催することもできます。そこでの売り上げはもちろん、ワークショップ等を通してサロンに興味を持って来店してくれるお客様もいるかもしれません。

それから、サロンに対する敷居が下がるのもポイントです。カフェを併設しているサロンはどちらかのみの利用もできるところがほとんどですが、カフェを利用したのがきっかけでサロンに来店したという人もいます。また、カフェであればカップルや家族でも利用できるので、顧客層が広がるのも魅力です。

同伴した家族や友人と施術終わりの時間が合わなくても空いた時間をカフェで過ごすことができるので、紹介で来店する新規のお客様も増えることが期待できます。ほとんどの人々が利用する美容室より、一部の人しか利用しないネイルサロンやエステサロンなどは、特に高い集客効果が見込めるでしょう。

カフェ併設サロンのデメリット

こうして考えてみると、カフェを併設するのは良いことばかりのようです。それならもっと多くのサロンがカフェと一緒になっていても不思議ではありません。ではなぜカフェ併設サロンは少数なのでしょうか。それは新しい業態のビジネスを始める以上、一定のリスクが伴うからです。少なくない時間と資金も必要になります。では、具体的にどのようなデメリットがあるのか考えてみましょう。

多額の資金が必要

まず何よりも始めるための準備に割く時間や、経済的な余裕がないといけません。特に、開業資金はかなりの金額が必要です。内装・外装工事費や設備費、新たにスペースを借りるなら家賃も生じます。こういった初期費用だけでなく、カフェをオープンした後の運転資金も確保しなければいけません。

サロンと併設する以上、10坪程度の小規模のカフェがほとんどだと思いますが、それでも300万円~1,000万円はかかるでしょう。幅が広いのは地価や物件などに大きく左右されるからです。しっかり下調べをしたうえで予算を組み、着手していってください。

それでも予算を超えてしまうことはあるかもしれません。また、そもそも自己資産が心もとないという方もいるでしょう。そのような場合は金融機関や自治体に融資を申し込むのが一般的ですが、これは返済義務があるうえに利子もつきます。

そのため、より安く済ませたいのなら融資を検討する前に、原則返済義務がない(=給付される)助成金や補助金の申請をするのがおすすめです。たとえば経費の一部を補助してくれる補助金や、改装費や賃借料の一部を補助する「空き店舗活用事業補助金」、特定の求職者を雇い入れる場合の手当てが出る助成金制度などがあります。

カフェだけでなくサロンのほうでも使える助成金や補助金もあるので、資金繰りに悩んでいる方はぜひ申請を検討してみてください。

関連:「申請しないと損をする!美容サロンで使える返済不要の助成金とは」
関連:「経営者は情報を待つだけ!助成金・補助金情報を効率的に収集する方法」

客層やお客様の目的が大きく異なる

経済的な課題をクリアして無事にオープンできたとしても、まだ課題は残っています。それは集客の仕方やサロンとカフェで上手くお客様が循環するような仕組み作りについてです。

サロンの場合はターゲット層がかなり絞られますが、カフェは老若男女問わず幅広い客層を得ることができます。また、サロンへ来る目的は「綺麗になるため」、「リフレッシュするため」といったものが多いので、大多数のお客様は一人で来店し、ゆっくりと過ごしていますよね。

しかし、カフェの場合は「待ち合わせのため」、「仕事や勉強をするため」、「時間までの暇つぶし」など利用する目的が明らかに異なります。そのため、コンセプトの設定や雰囲気づくりをしっかりしないと、せっかく併設しているのにそれぞれ独立してしまうのです。

最悪の場合、カフェにばかりお客様が流れてサロンの収益が上がらず、結局サロンのスペースをカフェに併合する事態になることも考えられます……。その逆もまた然りです。必ずしも思ったような成果が出るわけではないということを念頭に置いておきましょう。

カフェ併設に必要なもの

カフェを併設するとなると、新たに様々な手続きが必要になります。まず必要なのは喫茶店営業許可です。喫茶店営業許可を取得すると飲み物または菓子類を販売し、お客様に飲食してもらうことができます。ただし、ここで言う菓子類とは個別包装された市販品に限るものです。

したがって、店内でパンケーキやパフェ、サンドイッチなどを作って売り出したい場合には別途申請する必要があります。街中で営業しているカフェのほとんどは、喫茶店営業許可だけでなく飲食店営業許可も取得しているのです。

許可を得るためには店舗の設備や換気扇の位置などが規格に適していなければいけません。また、建物の構造や材質も監査対象なので、事前に必ず店舗所在地の保健所に確認をしておきましょう。参考までに東京都の基準が書かれたファイルリンクを載せておきます。他の地域でも概ね似たような内容ですので、一度目に通しておくと役立つと思います。

見ていただければ分かりますが、飲食物を扱うためかなり細かく基準が定められています。可能であればカフェや飲食店の居抜き物件を利用すると工事費が抑えられるのでおすすめです。

参考:東京都福祉保健局 食品衛生の窓「一般営業施設で営業する場合」(pdf)

食品衛生責任者

飲食物を扱う場合、店舗に携わる者の中から食品衛生責任者を1名定めなければいけません。基本的にはオーナーなどのカフェ運営者を責任者としたほうが何かと都合が良いかと思います。食品衛生責任者は従業員への衛生教育を必要に応じて行ったり、食品衛生上の危険が発生しないように設備を整えたりする役割があるからです。

食品衛生責任者になるには決められた資格の取得が必要になります。調理師、栄養士、薬剤師、医師などの資格保持者は実務経験がなくても食品衛生責任者になることが可能です。詳細については店舗所在地の保健所か食品衛生協会のサイトをご覧ください。

もし、こういった資格を持っていない場合は都道府県で定期的に開催される講習会を受けて、食品衛生責任者の資格を取らなければいけません。とはいえ、講習会はさほど難しいものではなく、きちんと講習に参加すれば一日で取得できるものです。保健所に営業許可を申請する時点で食品衛生責任者を定めていなければならないので、新たに資格を取る場合には余裕をもって講習を受けましょう。

ちなみに、これは一度取得すればそのままずっと効力が続くというわけではありません。店舗の営業許可を更新する時に食品衛生責任者実務講習を受講する必要があります。調理師や栄養士なども受講対象です。これを受けなければ営業許可更新の申請ができないので気をつけてください。

参考:公益社団法人日本食品衛生協会「食品衛生にかかわる資格」

二毛作ビジネスのすすめ

飲食業界では少し前からいわゆる二毛作ビジネスという営業スタイルが広まってきています。これはその名の通り、時間帯や曜日によって一つの店舗の営業形態を変えるというものです。たとえば昼はラーメン屋だけれど、夜になると居酒屋になるといった具合に、本来営業しない時間帯や休業日を有効活用して売り上げアップを図ります。組み合わせ方や売り方次第では、相乗効果が生まれてかなりの収益が見込めるでしょう。

ですから、せっかくカフェを併設するのであれば、夜の時間帯も使って利益の最大化を図ってはいかがでしょうか。居酒屋だと美容サロンとの雰囲気が合わないので、二毛作店にするならバーなどが良いと思います。カフェの利益率は高くありませんが、夜のお店であれば単価を上げやすいこともあり、昼の売り上げが思わしくなくても夜の営業でカバーできるかもしれません。余力があるなら自分たちでバーの運営をしても良いですし、手頃な物件を探している第三者に貸しても良いでしょう。営業している時間が長くても短くても、毎月の家賃は変わりません。限られた予算と時間の中で利益を最大化できるようにしたいですね。

カフェ併設サロンの例

集客のため、ブランディングのためなど、カフェを併設する目的はさまざまですが、本当にカフェ併設サロンはで目的の効果が得られるのでしょうか。サロンとカフェのコンセプトやターゲット顧客についてしっかり考えないと、狙った相乗効果は出せません。きちんと収益を出すにはどんな風にサロンとカフェをコラボさせれば良いのか、ビューティーパークに掲載中のサロンで成功しているロールモデルを3店舗ピックアップしました。それぞれに特徴があるので、ぜひ参考にしてみてください。

ティ-エヌ 越谷店(埼玉県)

全国展開中のネイルサロン「ティエヌ」の中でも珍しい教育・飲食・美容の複合店舗です。ネイルサロンと併設するカフェの他にも、ベビーマッサージやキッズ英会話などを開いており、充実した教育サービスを提供しています。小さな子供がいるママさんを中心に幅広い客層を呼び込むことに成功し、安定して客数を確保している優良店です。

メインターゲットがお子様連れの女性であることから、スタッフには育児経験のある女性を多く採用しており、母親ならではの視点から気配りの行き届いたサービスができるように心がけています。また、カフェのメニューは飲み物やスイーツ類だけでなく、ハンバーグやスープなどの食事メニューを多数提供している他、キッズメニューの用意もあります。

夜になると客層がガラッと変わってお仕事帰りのOLや女子会で来る大人女性が多くなり、お酒も提供するオシャレなダイニングカフェに。宴会コースや大人数での貸し切り予約もできます。場面に応じた雰囲気づくりをすることでサロンだけでなくカフェでの収益も着実に上げ、売り上げ拡大を実現しています。

このように、カフェでの待ち合わせ時間を利用してネイルをしたり、子供の送り迎えついでにサロンへ寄ったりとさまざまなシーンに対応して利用できるため、多数のお客様を獲得できるのでしょう。趣味や立場、年齢などが違っていても楽しめる多角的なアプローチが功を奏したビジネスモデルです。

参考:個人カフェ開業.com「第1回 Cafe&Dining ARISTAR」

ティ-エヌ 越谷店

〒343-0816
埼玉県越谷市弥生町17-1

ocio Healing space & Café(オシオ ヒーリング スペース アンド カフェ)(東京都)

ocio Healing space & Café(オシオ ヒーリング スペース アンド カフェ)は大洋同書店という本屋の中にカフェと併設してつくられたリラクゼーションサロンです。夫婦で経営しているため、とてもアットホームな雰囲気でリラックスしながら施術を受けられます。看板メニューのタイ古式マッサージの他、リフレクソロジーやハーブサウナも人気です。施術終わりにはカフェで提供しているドリンクをサービスしています。まさに身も心も癒される「ヒーリング空間」です。

カフェのメニューは材料にこだわった自家製のドリンクやスイーツが中心。洋菓子なのにバターや卵を使わず一つひとつ手作りしているので、アレルギー体質の方やカロリー、コレステロールが気になる方でも安心して楽しめます。他にもドリンクのシロップや砂糖には血糖値を上げにくいものを使うなど、リラクゼーションサロンならではの身体に優しいメニューばかりです。

健康が気になるミドル世代や小さなお子様連れのお客様までたくさんの方が利用しています。テイクアウトも可能なので、お土産に買っていくお客様も多いです。身体に癒しを与えるという共通のコンセプトを持つからこそ、サロンとカフェが相互に良い影響を与え合い、売り上げに繋がる仕組みが作れているのでしょう。

ocio Healing space & Café(オシオ ヒーリング スペース アンド カフェ)

〒184-0003
東京都小金井市緑町1-1-23 大洋堂書店内所

ピュアレディ早出店(静岡県)

ピュアレディ早出店では、食生活の面からもお客様の心と体のサポートをしたいという店長の想いから、数年前にカフェ部門が立ち上がりました。サロンの一角を使ってマフィンを販売する、テイクアウト専門のお店です。マフィンはすべて店長の手作り。とても評判が良く、イベント時にはすぐに完売してしまうのだとか。

ちなみに、サロンで販売しているのはマフィンだけですが、施術後のサービスとして日替わりのスイーツセットがあります。また、定期的にお菓子教室も開催している他、Instagramを活用し、インスタライブでお菓子作りのレッスンもしているそうです。

エステサロンにはキッズスペースもあり、事前予約をすれば保育士が子供を預かってくれるため、ピュアレディ早出店はママ友同士の交流の場にもなっています。エステメニューはバリ式リンパマッサージやフェイシャルエステなど、健康と美容を追求した内容が盛りだくさん。肌に優しい「ナチュラル&メディカル」な綺羅(キラ)化粧品の取り扱いもしており、いくつになってもどんな時でもすべての女性が綺麗でいられるように、さまざまな方面からアプローチしています。

健康や美容を体だけの問題と捉えず心のケアまで行うため、お客様との信頼関係がしっかり築かれており、リピート客が多いです。お客様のためにできる最高のことを実践していった結果の一つがカフェであり、その想いが伝わってカフェ部門もサロンも多くの方から支持されているのだと思います。

ピュアレディ早出店

〒435-0054
静岡県浜松市中区早出町222-10

併設するならサロンのコンセプトに合うカフェを

今回のコラムで、カフェ併設サロンの魅力が伝わったでしょうか?ただし、ここまで読んでくださった皆さんがお気づきの通り、ただカフェをつくれば良いというわけではありません。なぜなら本来のサロンの利用の仕方とカフェの用途は違うからです。

時間の長短や利用シーン、誰と行くか(あるいは一人で行くか)など、多くのことが違っています。そんな2つを上手く組み合わせて相乗効果を狙うには、きちんとしたプラン設計が大切です。実際、成功しているサロンはどれもサロンのコンセプトと調和するカフェを作っています。また、カフェをサロンワークの二の次にすることなく、サロンと同じくらい大切に考え、真剣に向き合って運営しています。

このように、立地や内装、予算なども考えたうえでサロンに合ったカフェ作りをしてください。そうすればおのずと結果がついてくるはずです。あなたのサロンが新たな扉を開け、大きく一歩踏み出せるよう応援しています。