みなさんのサロンでは美容品の販売や広告を打ち出す前に法律・薬機法について気にしたご経験はありますか?
店頭でおすすめ・販売をしている以上、お客様に効能・効果を正確に伝えて、購買意欲の湧くような魅せ方・販売をしたいですよね。
店販をアピールする広告を出すには法律による規制で、表現方法や伝え方について注意が必要です!
誤った表現を用いてしまうと法的にも大きな問題になってしまい、サロンの信用を失いかねません・・・

今回から4回にわたって店販の売上を伸すためのポイントを連載形式でご紹介します。
薬機法や関連する法律の知識を交えつつ、広告表示や接客・販売方法について見直していきましょう!
今回はサロンの経営知識としても基本的な法律である「薬機法」の理解が深まるよう解説を行います。

サロン経営と密接な関係を持つ「薬機法」とは?

まずは大前提としてサロンで販売する商品に関わる法律について解説をします。サロンで取り扱い・販売しているシャンプー・化粧水・クリームなどの美容品は「化粧品」「薬用化粧品(医薬部外品)」「医薬部外品」の3種類に分類されます。これらの分類は「薬機法」(読み方:やっきほう)と呼ばれる法律に基づいて定義されています。

美容品を取り扱うにあたって「薬事法」という言葉を耳にされたことが多いかと思われますが、「薬事法」というのは前述の「薬機法」の旧式名称(改正前の名称)のことで、平成26年(2014年)11月25日より法の一部が改正された際、あわせて改称されています。社会の変化・科学の進歩発展を踏まえて何度も改正がされている法律です。
(因みに改正された個所としては「「再生医療等製品」を新たに定義するとともに、その特性を踏まえた安全対策等の規制を設けた」という以外で、今回ご説明していく内容に関してはほぼ変化はありません。)

現在「薬事法」は正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改称されており、厚生労働省は略称として「医薬品医療機器等法」という名称を用いています。

さらに「医薬品医療機器等法」を略した「薬機法」という言葉が各業界やメディアで使用されています。
「薬機法」はどのような形でサロン運営・店販・サービスに関わってくるのでしょうか…

「薬事法」のほうが世間一般で周知されているので「旧薬事法」といった言い回しも存在していますが、この記事・連載では現行の法律を遵守し「薬機法」の略称で説明を進めていこうと思います。

「化粧品」「薬用化粧品」「医薬部外品」の違いとは?

サロンで使用しているアイテムや、ディスプレイしている店販の中で、容器や外箱に「薬用」「医薬部外品」と記載されたものがありますよね。施術で使用するアイテムを選ぶ際に注視されているサロンもあると思います。

市販品においても同様の記載があり、お客様はそれらのパッケージ情報から「薬用だから他の製品よりも質が良いのかも」と考えて選ぶ方や、「どんな薬品が使われているの?どんな影響がでるのか不安・・・」と敬遠される方、「扱いの違いがよくわからない」など様々な反応をする方がいらっしゃいます。そのため、お客様に施術・店販商品提案をする際に、「化粧品」扱いの美容品との違いの説明が出来れば安心して施術を受けてもらえ、店販にも興味を持っていただけます。 違いをお客様へ上手く伝えることで店販の売上が左右されるのです。

「医薬部外品」と「化粧品」の違いは薬機法第2条において定義がされています。 下記の薬機法条文を読み解いてみましょう。

≪医薬部外品とは≫(薬機法第2条より抜粋)

2 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
   一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号 に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
   二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
   三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

≪化粧品とは≫(薬機法第2条より抜粋)

3 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

要約しますと、
・医薬部外品…医療用の「医薬品」と「化粧品」の間に位置付する、厚生労働大臣による許可を得た成分が一定量配合されたもの。
・化粧品…人の身体を清潔にし、容姿を整える、人体に対する作用が緩和なもの。
・薬用化粧品…化粧品としての期待効果+ニキビを防ぐ、美白やデオドラントなどの効果を持つ「有効成分」が配合されていて、「医薬部外品」に位置付けられるもの。

化粧品と薬用化粧品大きな違いは認定された有効成分が一定量配合されているか・配合されていないかです。
表面上の美しさを装う目的ではなく、予防効果などのプラスの効果を求めているお客様に提案する際、薬用化粧品・有効成分について説明が出来れば、市販品との違いも伝えられ購買の後押しになります。
お客様に最適な美容品を要望通りに勧めることで購買意欲を掻き立てることも可能で、接客中のトークに応用できるポイントの一つです。

※「医薬品」は厚生労働省によって効果・効能が認可された有効成分が含まれる、病気の治療などを目的とした「薬」を指します。作用が激しいため、医師の指導のもとで用法・用量を守って使用しなければ大変危険です。

ちなみに「化粧品」は薬機法により全成分表示の義務が命じられていますが、「医薬部外品」となる「薬用化粧品」は自主基準で成分表示をしています。このようなルールの違いも存在しますので、別記事で解説・紹介させていただきます!

薬機法で定義されている分類ごとのアイテム具体例

美容品が3分類されていますが、主にどのアイテムがどの分類に該当するのでしょうか。それぞれの分類ごとに美容品の具体例を解説します。

・化粧品…一般化粧品(ファンデーション・口紅など)・美容液・化粧水・クリーム・石けん・ヘアトニック・シャンプーなど

店販のラインナップを充実させる為に同じメーカー・ブランドの商品を一通り揃えると、専門外の美容品も置いていることもありますので、一概に「このサロンではこの美容品」ということは出来ませんが、主にヘアサロンやエステサロンでメインに取り扱っている商品が多く該当します。 また、最近は化粧品分類のアイラッシュ系アイテムも増えていますので、化粧品に当てはまる美容品のラインナップは大変幅広いです。

・薬用化粧品…シャンプー、リンス、化粧水、クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油、ひげそり用剤、日やけ止め剤、パック、薬用石けん(洗顔料を含む)

美容室・理容室で実際に使用している美容品をはじめとして、エステサロンでも展開している化粧水や乳液が該当してきます。これからのシーズンは近年でも注目度が高いUVケアアイテムの取り扱いが各サロンで増加するのではないでしょうか?

・医薬部外品…育毛剤(養毛剤)、除毛剤、染毛剤(脱色剤、脱染剤)、パーマネント・ウェーブ剤、(薬用化粧品(薬用せっけんを含む)) 医薬部外品に関しては、各サロン店販で扱う物より、施術時に使用するものが殆どです。効能・効果が目に見えて発揮される美容品が該当します。

配合されている成分にもよりますが、主に予防効果が認められているアイテムが薬用化粧品・医薬部外品に分類されています。 次回のコラムにて詳細の説明をしますが、店販ディスプレイ時の広告の内容・表現がそれぞれ異なった規制があります。 今一度サロンに置いている店販商品がどの分類に属すのか確認をしてみてください。

まとめ

サロンを経営する上で薬機法について触れることがあっても、読み返す機会はなかなかありませんよね。 意外と頻繁に法違反が発覚し、厚生労働省から補足等通知が出されて条例が施されるなどしている為、サロン経営に影響が出ることがあります。 サロン専売品・店販を導入した際や、ラインナップを変えるごとに確認してみるのはいかがでしょうか? 法令を順守することで店販商品の良さを引き出し、お客様に正しい情報を伝えることが出来るので、この機会に連載記事でより深く理解をしてみてください。

連載次回予告

初回から専門用語が多かったので、なかなか理解できないですよね。自身も勉強をしていた際にはかなり苦戦をしました・・・ 回を追うごとに更に深く専門用語についても読み解き、解説をしていきますので、「この言葉ってこんな意味も持っていたんだ!」「この知識は他のスタッフにも周知して接客トークで応用してもらおう」と少しずつでもご理解いただき活用してければ幸いです。

次回、第2回では店販PRや広告に使えるワードを解説していきます。施術メニューの表現にも関わるので、今回の記事以上に濃い内容です。薬機法に関する法令や注意事項もピックアップしますので、サロン専売品に関して思わぬ法令違反が生じていないかを確認し、店販の購入率・単価アップを目指していきましょう!

参考

厚生労働省:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

※当記事は執筆時(2019年7月現在)施行されている法律に基づき、関連参考資料を精査したうえで作成しております。法律の改正が生じた場合・法に違反する内容があると発覚した場合は予告なく記事の修正または削除を行います。ご理解のうえお読みください。

※表現に関する内容は解釈により異なる可能性があるため、広告表現のチェックに関する質問の回答は出来かねます。正確な回答は厚生労働省 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課、または、各都道府県の薬務課で確認されることをおすすめします。