「店販のアピールをするうえで薬機法だけに注意しておけば安心だ」と思っていらっしゃる方はいませんか?
その考えはとても危険です!薬機法だけではカバーできない細かな規制・あいまいな表現が多数存在します。
それらをフォローする為に、前回紹介した広告基準以外にも様々な法律や基準が店販に関わってくるのです。
今回はお客様視点での広告のあり方を学び、広告を出す時に知っておくべき3つの法律や基準をご紹介します。正しい情報を広告に反映して店販比率の向上に繋ぎましょう!

広告・PRの基準である「医薬品等適正広告基準」とは?

薬機法とは別に制定された「医薬品等適正広告基準」という広告基準があります。これは、薬機法に明記された広告の記述に関して解釈・具体化したものです。(厚生労働省より通知)

広告を出す時に、嘘や誇大な内容の表現を避けて、正確な情報を買い手に伝えるための基準で、化粧品が直接の対象となっていますが、施術のビフォー・アフターなどの保証表現の禁止範囲など、サロン経営の面でも注意すべき基準ですのでしっかり把握しておきましょう。

更にこの基準を分かりやすく具体化した、「化粧品等の適正広告ガイドライン(日本化粧品工業連合会)」が作成されています。このガイドラインには、厚生労働省より通知されている医薬品等適正広告基準などの通知内容・具体例が更に細かく載っているので、大変参考になります。

日本化粧品工業連合会の公式サイトでは化粧品の広告表現以外にも、化粧品・医薬部外品の成分表示・日焼け止めの知識に関わるSPF測定基準など、事業者向けに資料が展開されていますので、知識を深めたい方にはお勧めです。

薬機法の広告規制の基準とガイドラインの関係性を示した図

一旦内容を整理すると、美容品に関する広告のルールとして、【薬機法】の広告についての記述を具体化した【基準】があり、広告における【基準】を更に具体化した【ガイドライン】が存在します。

そして、広告を打ち出す際にはこれらを参考にすると曖昧でない、正しい表現ができる。 ということになります。 これらの法律・基準・ガイドラインを読み込むことで難しい専門用語を含め、法的ルールの理解度が深まります! 是非下記の詳細リンクよりガイドライン等をご確認ください。

※ガイドラインだけを理解するのではなく、どのような法の下で規定されているのかを知ることも重要です!

参考:東京都福祉保健局「医薬品等適正広告基準」
参考:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」

他店との差別化を図る際に注意すべき 「景品表示法」とは?

広告・PRを打ち出す際に専門的な薬機法以外に、他の業界とも共通して注意すべき法律があります。
それが「景品表示法」という法律です。この法律に記された広告での表現についての規制にも注意を払わなければいけません。

「景品表示法」は美容業界以外でも適用されるので薬機法よりも耳にする機会が多いと思います。 こちらも正式名称が別にあり、「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」といいます。
消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、実際より良く見せかける表示がおこなわれていたり、過大な景品付き販売がおこなわれたりすると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい、不利益を被るおそれがあります。

そのため、商品やサービスの品質・内容・価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制し、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限して、消費者がより良い商品やサービスを自主的・合理的に選べる環境を守るために制定されました。

その「景品表示法」のなかで特にピックアップしたい項目が「優良誤認表示(5条1号)」「有利誤認表示(5条2号)」です。サロンの広告にメニューを掲載する場合などにも大きな関係性があります。

景品表示法-優良誤認表示とは?

商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示

以下のような表示が違反とみなされます。
余分な脂肪を燃やして排出! ⇒ 実際は裏付けとなる合理的な根拠がない
このサービスを受けられるのは東京23区ではこのサロンだけです ⇒ 実際は複数のサロンが導入している

優良誤認表示の図

景品表示法-有利誤認表示とは?

商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示

以下のような表示が違反とみなされます。
先着30名様限定でハンドクリームをプレゼント ⇒ 実際は100名に配布できた
他社商品の2倍の内容量です ⇒ 実際は他社と同量だった

有利誤認表示の図

措置命令日 平成24年6月28日
対象商品 抗シワ効果を標ぼうする化粧品
表示媒体 ウェブサイトでの表示
表示 「気になるシワを一瞬で!?形状記憶」、「深く刻まれたシワは、継続使用による形状記憶によって、また正常なターンオーバーが行われることによって徐々に薄くなっていきます」等と記載することにより、あたかも、対象商品を継続使用することで、著しい抗シワ効果が得られるかのように示す表示
実際 本法第7条(第4条)第2項の規定に基づき、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す
資料の提出を求めたところ、資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
違反法条 第7条(第4条)第2項、第5条(第4条第1項)第1号(優良誤認)

抜粋元:消費者庁 景品表示法関係ガイドライン等「景品表示法における 違反事例集(33ページ)」

上記の違反事例では優良誤認表示と違反が認められていますが、「シワ」に関する表現が既定の範囲を超えるものとなっているので薬事法違反となりますね。

このように説明した薬事法に絡む既定の範囲を超えた表現も上記の誤認表示とみなされる場合もあります。店販の広告以外にも、施術メニューの概要も薬事法・景品表示法の面で表示の確認が必要です。

参考:消費者庁「景品表示法」

より良いサービスを提供するために守る 「公正競争規約」とは?

さらに業界のルールとして景品表示法第31条の規定により定められた「公正競争規約」という規約もあります。
「公正競争規約」とは、医薬品・医療機器・食品・化粧品といった各分野・業界の商品特性や取引の実態に即して、広告やカタログに必ず表示すべきこと・特定の表現を表示する場合の基準・景品類の提供制限などが定められています。

一般消費者がより良い商品・サービスを安心して選ぶことができる環境作りのための大切な役割を担っています。

サロンで扱う化粧品には、『内容重量は「g」又は「グラム」、内容体積は「mL」又は「ミリリットル」、内容数量は個数等の単位で表示する。』や、『「使用の期限」等の文字を表示し、化粧品の性状及び品質の安定を保証できる期限について、月単位まで表示する。』といった、具体的な表示に関する規約が定められています。

参考:消費者庁「公正競争規約」
参考:化粧品公正取引協議会「化粧品の表示に関する公正競争規約」

その他サロン経営「表示」に関するルール

広告以外にも「表示」にはルールが多数あります。そのひとつとして「成分表示」のルールがあります。
第1回でも少し触れましたが、美容品の薬機法における定義として、化粧品には「全成分表示」が義務付けられています。

以前までは「旧表示指定成分」として102種類の指定されたアレルギー等の症状を起こす可能性のある成分と香料のみに表示義務がありました。しかし、指定されていた成分以外においても何かしらの症状が起きる可能性が疑われる為、全成分を表示するように義務付けられました。

表示方法としては、商品に 配合されている量の多い順にパッケージに記載し、成分名も邦文名で誰もが理解できるようにしなければなりません。また、混合原料は混合されている成分ごとに記載が必要です。

法令違反を起こした場合の罰則

薬機法・景品表示法の違反をした場合は厳しい罰則が定められています。
薬機法・誇大広告等の違反をした場合、個人でも法人でも2年以下の懲役または200万円以下の罰金、または両方が課せられます。

景品表示法に関しては、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、企業には3億円以下の罰金が科せられます!
また、違反すると罰則を受けるだけでなく、公官庁により公表されますので、これまで築いてきたお客様との信頼関係も台無しにしてしまい、先の経営も困難になる恐れもあります。法令遵守に努めましょう!

前回までの連載記事はこちらから
店販の売上を伸ばす技とは?サロン経営に法律を活かす【薬機法その①】
店販売上向上の工夫とは?サロン店販ポップ作成の注意点【薬機法その②】
店販の売り方に応用できる!販売トークや広告のポイント【薬機法その③】

まとめ

薬機法から成分表示の義務まで、多くの法令がサロン経営で関わってきます。ただ種類が多いわけではなく、解釈・具体化された基準・付随する法律となるので難しく考える必要はありません。
以下の図に各法令と概要を簡単にとりまとめています。

薬機法・広告基準・ガイドラインの説明図 景品表示法・公正競争規約・成分表示の説明図

どの法律でも、お客様(消費者)が確かな商品選びが出来るようにという配慮・消費者利益の保護がされています。
サロンで販売している商品にはしっかりとルールに沿った記載がされていますか?パッケージなし・表示なしの状態でお客様に販売していませんか?

今一度確認が必要です。直接エンドユーザーであるお客様とやりとりをするサロンを経営している以上、これらの法律や規則の理解を深めることは素敵なサロンづくりにおいて大変重要です。
次回は第1回から今回までの内容をふまえた、まとめコラムを公開いたします。是非公開までに過去のコラムを振り返ってみてください。

※当記事は執筆時(2019年8月現在)施行されている法律に基づき、関連参考資料を精査したうえで作成しております。法律の改正が生じた場合・法に違反する内容があると発覚した場合は予告なく記事の修正または削除を行います。ご理解のうえお読みください。

※表現に関する内容は解釈により異なる可能性があるため、広告表現のチェックに関する質問の回答は出来かねます。正確な回答は厚生労働省 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課で確認されることをおすすめします。