店販をアピールする工夫の一つとして、待合スペースや施術台・店販棚などで広告ポップやパンフレットを掲示・配布していませんか?
私は美容室で店販セールポップが目に入ると釣られ、ついつい普段使っていないスペシャルケアアイテムなどを購入してしまいます・・・つまり店販売上は広告・ポップが左右します!

しかし、その単価アップの効果が絶大な「広告」・「店販ポップ」、記載する効能・効果の表現範囲について、薬機法で細かく定められています。
今回はみなさんのサロンで法律に沿った店販ポップが作成出来るように、効能・効果の範囲詳細について広告基準の法律についての説明も交えつつ、サロンで取り扱うアイテムごとに解説・確認をしていきます。

店販ポップや広告に薬機法を活用すべき理由

薬機法はサロン経営にどのように関連するのでしょうか?
薬機法に記された範囲以外の効能について表示をすると広告媒体を問わず処罰の対象になってしまいます。また、超えた表現も出来ないので言葉選びを慎重にしなければなりません。つまり、サロンで施術メニューや店販に関するポップ・広告・PR等の表示において、薬機法は密接な関係性があるのです。

大手メーカーでは薬機法に関する専門家・担当者がひとつひとつの文言を精査し、広告として打ち出しているところもあります。しかし、個人経営や小さな企業ではそのような担当者が常駐しておらず、徹底した確認作業をすることが疎かに・確認ができない状態になっている場合があります。
その為「購買意欲を高めたい」「購入につながるような目につく文章にしたい」とこだわってポップを作った結果、行き過ぎた表現をしてしまい法律違反に繋がってしまうことも!
そのような問題が生じないよう、対策としてしっかりと薬機法で示されている内容を理解し活用しましょう。

店販のアプローチに応用できる「化粧品」「薬用化粧品」「医薬部外品」の効能・効果の表現範囲

表現範囲は「化粧品」「薬用化粧品」「医薬部外品」の3分類ごとに規定がされています。
分類ごとに効能・効果の表現範囲を確認しましょう。

◆「化粧品」に分類される美容品について

「化粧品」の効能・効果の表現は56項目に規定されています。
その中でも髪・肌・爪に関する表現を一部抜粋して紹介・解説をします。

◆頭皮や毛髪に関する表現の範囲

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。

抜粋元:東京都福祉保健局「広告基準 効能効果編」(化粧品の効果効能の範囲について)

美容院やリラクゼーションサロン・エステサロンでヘアトニック等を販売されている方は確認が必要な項目です。

例えば「ダメージを受けた髪を再生」「傷ついた頭皮を修復」といった表現は治癒的表現と判断されます。
治癒的表現は厳禁です!医療行為でもありませので、上記の範囲を超えるのでNGとなります。

サロンで広告表示をする場合は「パサつく髪に水分を与えてうるおいを保つ」や「頭皮をすこやかに保ち整える」といった言い換えが適切です。ちなみに、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも表現可能です。

例1。シャンプーの広告においてNGな掲載方法

◆皮膚に関する表現の範囲

(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。

(中略)

(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。

(中略)

(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。

抜粋元:東京都福祉保健局「広告基準 効能効果編」(化粧品の効果効能の範囲について)

美容院・理容院・リラクゼーション・エステサロン、脱毛サロン等でクリームやせっけん等を販売されているサロンに該当します。
こちらも例を挙げると「毛穴が消える」「ニキビが治る」といった表現が治癒的表現になりますので、化粧品の効能・効果の説明としてはアウト!
「肌をひきしめる」「洗浄によりニキビを防ぐ」といった範囲内の表現が適切です。
また、「皮膚」と「肌」の使い分けが可能です。上記抜粋記事内の( )内にある「洗浄により」や「洗顔料」といった文言は、効能には含められていませんが使用形態から考慮して、限定するものとなっています。

例2.基礎化粧品の広告においてNGな掲載方法

要注意項目として(37)日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ。(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
(抜粋元:東京都福祉保健局「広告基準 効能効果編」(化粧品の効果効能の範囲について)
この2項目には「しばり」の表現が必要になる表現ですので「日焼けによる」「乾燥による」の表現を簡略化してはいけません。「しばり」表現を明記しなければ薬事広告として違反となりますので要注意です。

この2項目において文字の大きさを変えて一方を目立たせるという行為も禁止されており、規定範囲の表現と同じ大きさや色で記載しなければなりません。

しばり表現等の規制に対する広告例

◆爪に関する表現の範囲

(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。

抜粋元:東京都福祉保健局「広告基準 効能効果編」(化粧品の効果効能の範囲について)

主にネイルサロンを経営される方に関係があります。
ネイルケアアイテムなどを販売している場合、「爪が割れなくなる」と言い切る表現ではなく、範囲内の「爪をすこやかに保つ」といった表現に言い換えが必要です。

これらの効能・効果の範囲はそのままの文章を必ず使わなければいけないという事ではありません。
しかし、この範囲を超えない言い換えは可能ですが、範囲を超える言い換えは不可となっています。
少しでも表現のニュアンスを間違えるだけで法令に反するとみなされる可能性があるので、いかにして店販ポップや広告で規定の表現範囲を超えない言い換え表現をするかが重要なテクニックとなってきます!
※ 薬機法以外にも景品表示法で広告表現の制限があります。
次回以降に触れていきますので、今回は薬機法における販売商品の広告の表現としてお考えください。

文中の抜粋元ページより全56項目を確認できますので参考にしてください。

◆医薬部外品に含まれる「薬用化粧品」について

「薬用化粧品」の効能・効果の表現を一部抜粋して紹介・解説をします。

1. シャンプー ・・・ ※1

ふけ・かゆみを防ぐ
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ
毛髪・頭皮を清浄にする

など

2. リンス ・・・ ※1

毛髪の水分・脂肪を補い保つ
裂毛・切毛・枝毛を防ぐ

など

3. 化粧水 ・・・ ※1

肌あれ。あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。

(中略)

皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。

など

4. クリーム・乳液・ハンドクリーム・化粧用油 ・・・※1

あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。

(中略)

皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。

など

5. ひげそり用剤  ・・・※1

かみそりまけを防ぐ。
皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。

6. 日やけ止め剤  ・・・※1

日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。
日やけ・雪やけを防ぐ。

など

7. パック  ・・・※1

肌あれ。あれ性。
にきびを防ぐ。
肌をなめらかにする。
皮膚を清浄にする。

など

8. 薬用石けん (洗顔料を含む)・・・※1

< 殺菌剤主剤のもの>
皮膚の清浄・殺菌・消毒。 体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。

(中略)

< 消炎剤主剤のもの>
皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。

※1  抜粋元:大阪府枚方市ホームページ「医薬部外品の効能または効果の範囲(参考)」(PDF)

「化粧品」の表現範囲と重なる箇所以外の「薬用化粧品」独自の表現としては以下の通りです。

  1. 「ニキビを防ぐ」 ・・・ 「化粧水」「クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油」「パック」
  2. 「皮膚の殺菌・消毒」 ・・・ 「薬用せっけん」
  3. 「体臭を防ぐ」 ・・・ 「薬用せっけん」

作用機序(薬剤が人体に対して働くメカニズム)によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められます。
「美白」「ホワイトニング」というキャッチコピーをよく目にしますが、このキャッチコピーは「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」という注釈・説明を必ず記載していないと使用できません。もちろん効能・効果に承認を受けている場合のみです。「黒い肌が白くなる」「シミにサヨナラ(無くなる・治癒表現)」といった美白の表現は薬機法に反するので気を付けましょう。

※一般化粧品の場合は「メイクアップ効果によって肌を白く見せる・シミを見えにくくする」という表現が可能です。

例3.薬用化粧品の広告においてNGな掲載方法

また、化粧品の表現範囲において『(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)』(抜粋元:「東京都福祉保健局「広告基準 効能効果編」(化粧品の効果効能の範囲について)」)とありますが、この表現は「洗顔料を使用しての洗浄をすること」でニキビを防ぐと表示できるので、洗顔料以外でニキビを防ぐと表現するのであれば、有効成分が一定量含まれた薬用化粧品(「化粧水」「クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油」「パック」)でないと表現できません。

※上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標ぼうするものは、医薬部外品としては認められません。

◆「医薬部外品」の効能・効果の範囲について

「医薬部外品」に関しては【種類】【使用目的】【剤型】【効能・効果】と、具体的に表現範囲が定められています。今回は関係性の高い製品のうち一部の【種類】と【効能・効果】の表現をご紹介します。

・てんか粉類 ・・・※2

あせも、おしめ(おむつ)、かぶれ、ただれ、股ずれ、かみそりまけ

・育毛剤 ・・・※2

育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛

・除毛剤・・・※2

除毛

・染毛剤(脱色剤、脱染剤)・・・※2

染毛、脱色、脱染

・パーマネン ト・ウェーブ用剤・・・※2

毛髪にウェーブをもたせ、保つ。くせ毛、ちぢれ毛、または ウェーブ毛髪をのばし、保つ。

※2  抜粋元:大阪府枚方市ホームページ「医薬部外品の効能または効果の範囲(参考)」(PDF)

薬用化粧品以外の医薬部外品をサロンで販売することは滅多にないかと思われますが、接客中や商品販売時のトークに応用が出来ます。店販の勧め方やアプローチに悩んでいる方はこれらの知識をトークの題材にしてはいかがでしょうか?

例4.育毛剤の広告において

以上の「薬用化粧品」と「医薬部外品」の表現範囲の詳細は ※2 の抜粋元を参考に、是非店販ポップの内容を確認してください。

「そもそも薬機法とは?」といった疑問をお持ちの方は是非連載第1弾「店販の売上を伸ばす技とは?サロン経営に法律を活かす【薬機法その①】」をご覧ください。

まとめ

表現の範囲は今回紹介した効能・効果しか広告等で使用することは出来ません。
「エイジングケア」「美白」「シワ」「毛髪にツヤを与える」など、キャッチコピーでよく見かける言葉ですが、皆さんのサロンの広告の表示は過剰な表現になっていませんか?

法律を読み解き理解することは難しいですが、知識があることでお客様に正しい情報を伝えることが出来ます。
伝えることでお客様に安心して製品を利用してもらえますので、サロンやスタッフへの信頼度がぐんと上がります!
面倒だと思わずに、スタッフ一人一人が店販商品の特徴と表現を理解し取り入れていきましょう!

連載次回予告

効能・効果の範囲は狭く制限され、大変複雑なものになっていますが、今回紹介した規則は全体のごく一部にすぎません。

次回、第3回では 更に踏み込んだ広告・PR表現について掲載します!広告・PR表現について理解を深める為に、要注意表現などのためになる情報を更新させていただきます。ご拝読ありがとうございました!

※当記事は執筆時(2019年7月現在)施行されている法律に基づき、関連参考資料を精査したうえで作成しております。

法律の改正が生じた場合・法に違反する内容があると発覚した場合は予告なく記事の修正または削除を行います。
ご理解のうえお読みください。

※表現に関する内容は解釈により異なる可能性があるため、広告表現のチェックに関する質問の回答は出来かねます。
正確な回答は厚生労働省 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課で確認されることをおすすめします。