サロンの売上を支えるのはスタイリストですが、彼らを支えるのはアシスタントです。来客が重なってもアシスタントのサポートがあれば、お客様を不快にさせることなく円滑に店を回せます。アシスタントの働き次第でその美容室の行く末が決まると言っても過言ではありません。そこで、ヘルプに入ってもらう時や新人教育の時に気をつけるべきことをまとめました。今後のサロンワークに役立つノウハウを種類別に3つずつご紹介します!

新人を受け入れる際に気をつけること

まずはサロンに新しく人を雇い入れる時や、最初に行うスタッフ教育の時に注意すべきことを説明します。スタッフの離職率を下げ、モチベーションを上げるのにも役立つので、ぜひ押さえておきたいポイントです。今回は基本的なことではあってもなかなか当たり前にはできないことに絞って3つ厳選しました。自分のサロンや指導方法はどんな風なのか、改善できる点はあるかを考えながら、改めてあなたのサロンを見つめ直してみてください。

バックルームの片づけ

意外と放置してしまいがちなのがバックルームです。あなたのサロンのバックヤードは荷物の置き場所がなかったり、食べた後のごみや必要のない掲示物がそのままになっていたりはしていませんか?これではプライバシーが全く守られていませんし、何か貴重品がなくなった時に身内を疑ってしまい、サロン内で良好な関係が築けません。衛生的にも大変悪い環境です。そのようなサロンに入って、新人の方はどう思うでしょうか。

美容室に限らず、バックルームが汚い企業は業績が芳しくなく、人間関係も歪なことがほとんどです。普段から整理整頓やこまめな掃除をして、綺麗な状態を維持したいですね。研修の準備だけでなくバックルームまできちんと気を配ってこそ、新人を受け入れる体制が整ったと言えます。これは他店からヘルプに来てもらう時も同様です。

そもそも人を綺麗に美しくする職業であるはずなのに、職場が汚いだなんてことがあってはいけません。お客様から見えるところがすべてではないのです。バックルームまで含めてサロンなのですから。また、食べかすに釣られてハエやゴキブリなどの虫がサロン内に湧いて出る可能性もあります。そうなったら、お客様からの評価はガタ落ち。いくら店内や施術スペースを綺麗にしていても意味がなくなってしまいますよね。

自分たちのため、お客様のためにも「見えないところまで美しく」、バックルームは常日頃から片づけておきましょう。

目的をはっきりさせる

何事も目的意識を持って取り組むことが大切だとよくいわれています。なぜなら「何のためにやるのか」を明確にすることでモチベーションを上げることができるからです。やる意味や重要性を理解することで真剣に取り組むことができます。したがって、部下や後輩に新しいことを教える際は、それがどんなにささいなことでも目的を最初に伝えるようにしましょう。

たとえばトイレ清掃。地味な作業ですし、サロンワークではそれほど重視されませんが、「お客様やスタッフが気持ちよく使えるようにするため」、「利用する人にきれいに使ってもらうため」、「詰まりや異臭などのトラブルを予防するため」、「衛生管理のため」といったように、重要な目的がいくつもあります。これを知っている、または意識しているか否かで、トイレを掃除する時の心持ちにはずいぶん差が出るでしょう。

そして心持ちが違えば仕事や作業の成果にも影響します。ですから、サロンのルールや仕事内容、新しい技術を教える時は、第一に目的をはっきり伝えることが何よりも重要なのです。

お客様に注目させる

新人の頃にやってしまいがちなのが、指導者にばかり注目してしまうことです。先輩や上司のやり方をよく見て真似ることは非常に大切なことですし、それが上達への近道でもありますが、指導者ばかり見てお客様に注意を払うことを忘れてしまっては本末転倒です。

とはいえ、最初のうちは覚えることや目の前の仕事をこなすのに精一杯で、そこまで気が回らない人が大半でしょう。ですから部下や後輩を指導する時には、お客様の一挙一動にも注意するように声をかけると良いですね。サロンにおいて一番に気を遣うべきはお客様であることを意識づけましょう。

また、指導者だけでなくお客様の言動にも注目することで、どういう時にどんな対応をすべきかがよく分かります。効率よく学習してもらえるので、一刻も早く戦力が欲しいサロンは特にこのことを教育時に徹底させると良いでしょう。

アシスタントがヘルプに入る時の注意点

大切なお客様を任せるのですから、簡潔かつ具体的な指示をする必要があります。お互いの連携も重要になるでしょう。また、ヘルプにつく時はアシスタントにとって学びと成長のチャンスです。部下や後輩の成長を促すためにもできることがあります。ここでは、ヘルプ時に意識するべきことを3つご紹介します。

これらは相手がアシスタントの時だけでなく、スタイリストや他店からヘルプで来てくれる美容師の場合にも応用できることです。加えて、自分がヘルプに入る時にも役立ちます。ぜひ普段のサロンワークに活かしてください。

終了時間を把握する

アシスタントの業務で多いのがシャンプーです。一番初めに覚える仕事でもあり、下積み時代における腕の見せ所とも言えるでしょう。サロンによってはスタイリストより上手いアシスタントもいるくらいです。最近はヘッドスパの需要が高いので、シャンプーだけでなくヘッドスパも担当することが多いのではないでしょうか。

そんな時に大切なのがスタイリストとアシスタントとの連携です。複数のお客様がいらっしゃる場合はシャンプーを任せている間に他のお客様の施術に入ると思いますが、アシスタントと連携が取れていないとお客様を待たせてしまい、不快な思いをさせてしまうかもしれません。そのため、どれくらいの時間で終わるのかを必ず聞いておきましょう。あるいは他のお客様との兼ね合いもあると思うので、何分ぐらいでやって欲しいかを伝えておくのも良いですね。

分かりやすい指示を心がける

アシスタントに指示する際、つい「これくらい分かって当然」と思って略称や専門用語を連発したり、抽象的な物言いをしたりしてしまいますが、相手はまだ半人前。誰にでも分かりやすい指示を心がけましょう。

たとえばパーマの時に使うロッド。ここは32㎜、ここは26㎜と太さだけで指示すると、混乱または混同して別のロッドを使ってしまうかもしれません。しかし、色も一緒に指示すればミスを防止できます。

「なぜこちらが気にかける必要があるのか」、「アシスタントが頑張って覚えればいいだけだろう」と思う方もいるかもしれませんね。確かにそれも一理ありますが、サロンワークで最も大切なのはお客様の満足を叶えることです。そのためには多少面倒だとしても分かりやすく的確な指示をして、ミスを防ぐことが重要になります。お客様に気分よくお帰りになっていただき、次回以降も継続して来店してもらえるように、アシスタントを上手く動かしましょう。

お客様の前で叱らない

アシスタントがミスをした時や思い通りに動いてくれない時、ついその場で叱ったり、キツイ物言いをしたりしていませんか?

確かにその場で注意をすることは大切なことですが、お客様がいる場合は別です。雰囲気が悪くなって嫌な気分にさせてしまいます。誰かが怒られている場に居合わせた時、自分が何か言われているわけではないけれど息が詰まるような経験をしたことはありませんか?それと同じ居心地の悪さをお客様も感じてしまうのです。

それに、いつも丁寧に接客してくれる美容師の意外な一面を知ることで、お客様の心が離れてしまうかもしれません。お客様に引かれたり怖がられたり、悪い印象を持たれないためにも注意が必要です。

また、アシスタントの心持ちにも少なからぬ影響を与えます。モチベーションが低下したり、過度に緊張したり、慌てたりと、さらなるミスを招きかねません。叱る時と場所、語気や口調には気をつけましょう。

加えて、個人の尊厳を否定するような言い方や、行き過ぎた叱責はパワハラとみなされる可能性があります。労働施策総合推進法が一部改正(令和元年65日公布)され、令和261日から施行されました。本法改正により、大企業においては、令和261日から、職場におけるパワーハラスメント防止対策を講じることが義務付けられ、202241日からは、美容室などの中小企業も対象となります。

暴言・暴力や権力を振りかざしての無茶な要求をしないのはもちろんですが、万が一にも訴訟事件などが起こらないよう、叱り方や言葉選びには十分に気をつけてください。

参考:労働施策総合推進法に基づくパワーハラスメント防止対策に関する法改正及び関連指針等について

スタッフ教育に必要な3か条

美容業界は人の入れ替わりが激しく、定着率が低いことで有名です。人材不足に苦しむサロンや、スタッフ教育に悩むサロンは少なくありません。過去コラム「サロンを辞めたいと言われたら 離職率を下げるための完全マニュアル」でも対策方法をお伝えしていますが、このコラムとは別の角度からスタッフの定着率を高めるために必要なことをご紹介します。

今回は新人を迎え入れる時や教育段階でできる対策なので、どちらかというと離職予防と言ったほうが適切かもしれません。過去コラムと合わせて読んでいただければと思います。

居場所をつくる

サロンを辞める人の多くは、サロンにいる意味や自身の役割を見出せない人です。特にアシスタントのうちはできることが少なく雑用中心なので、美容師になった目的や何のために働いているのかを見失ってしまいがち……。

したがって、離職率を下げるためにはサロン内に居場所をつくることが大切になります。心の拠り所と言っても良いかもしれません。その第一歩が入社時の対応です。入社時にちょっとした歓迎会を開いたり、手作りの名刺を作って渡したりして受け入れる姿勢を見せましょう。

また、一度教えたから大丈夫と放置せず、分からないことや不安なことはないか様子を見ながら聞くことも大事です。仕事中は忙しいからと遠慮したり、一度教わったのにまた聞いたら嫌がられるかもしれないと尻込みしたりする人もいます。日頃からコミュニケーションを取って、質問しやすい環境をつくりましょう。

そして、どんな小さな雑用であっても、それを行ってくれるアシスタントがいることでサロンを円滑に運営できていることを忘れてはいけません。仕事への感謝や働きぶりの評価は給与や仕事のポジションに反映するだけでなく、きちんと言葉で伝えると良いですね。

自主性・積極性を高める

積極的に仕事に取り組む姿勢を持ってもらえれば、それがやりがいになって離職率低下に繋がります。また、サロン全体の質を高めるためにもスタッフに自主性を持ってもらうことは大切なことです。しかし、多くのオーナーはスタッフの自主性を育てることに苦労しています。アシスタントに限らず、スタッフに自ら動いてもらうためにはどうしたら良いのでしょうか。

一番有効なのは、上の者があらゆることに対して積極性を見せることです。たとえば挨拶や毎日の清掃、ブログ更新などを誰よりも速く、意欲的に取り組むとします。そうすればアシスタント達はその姿を見て、自分もやらなくてはという気持ちになるでしょう。あなたがサロンワークに真摯に取り組み、最大限まで熱量を高めれば、下の者は大きな刺激を受け、自然と自主性や積極性が養われていくはずです。

マニュアル人間にしない

教えたことしか実行せず、応用力や臨機応変に対応する柔軟性のないマニュアル人間。サロンではさまざまなお客様と相対するので、マニュアル人間では仕事が成り立ちません。アシスタントのうちに、自分で考え行動する力を身につけてもらうことは必要不可欠です。適応力がなければサロンワークにも支障をきたし、やがては自信を失って辞めてしまうでしょう。

スタッフをマニュアル人間にしないためにも、新人のうちから自分で考えて実行する習慣をつけさせることが大切です。そのための一つの手段として、毎日の終礼でその日に起きた問題や反省を話してもらう時間を設けることが挙げられます。そのうえで、なぜ上手くいったのか、どうしてミスしたのかなどの課題を自ら考えさせるのです。思いついた解決策は翌日以降のサロンワークで実行してもらいます。これを毎日繰り返すことで、どのような状況であっても柔軟に対応できるようになります。

アシスタントを育てるのが上手い店は売れる!

部下や後輩の育て方が上手なサロンは、優秀な人材が多いため全体の質が上がります。また、働きやすい環境で離職率も低いことから、採用や教育にかけるコストが最小限で済み、他のことに時間やお金、労力をつぎ込むことができます。つまり、売れるサロンをつくるためには、集客や技術にばかり目を向けていてはいけないのです。業績が伸び悩んでいるサロンや今よりも売上を伸ばしたいサロンのオーナー様は、ぜひスタッフ教育やアシスタントの活かし方にも力を入れてみてください。