美容室を経営していると、スタイリストやアシスタントの相談に乗ることもあるでしょう。そんな時に適切な対応ができるかどうかで、あなたに対する信頼度は大きく変わります。そのうえ、雇用している美容師が上手く悩みに向き合えなければサロンを辞めてしまう可能性も……!離職率低下やスタッフの成長のためにも経営者によるサポートは必須です。今回は美容師に多い悩みと対処方法についてまとめたので、ぜひ参考してください。

プライベートの時間が作れない

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多くの美容室は810時間営業です。そのうえ、営業時間外にもやるべきことはたくさんあります。特にアシスタントやスタイリストデビューしたばかりの新人は、勤務時間外に勉強しなければならないので必然的に自分の時間が圧迫されてしまいがちです。

美容師は技術職なので、人柄や努力している姿勢だけでは評価されません。お客様を満足させられるだけの技術を一日でも早く身につけることが求められます。それゆえ、練習のためにプライベートの時間を使えるだけ使うのが当たり前の世界です。このような状況は、美容師を志した時点で既に分かっていることではありますが、実際に経験してみると想像以上のつらさに挫折してしまう人も少なくありません。

悩みを解決するヒント

美容師としてのスキルを磨くために、自主練習や勉強にプライベートの時間が取られるのは、この世界では当然のことです。美容師であれば誰もが通る道であり、美容師としての土台作りには欠かせません。プロとしての道を歩み始めたこの時期にどれだけ練習に時間を費やし、どれほどの技術を身につけられるかが、その後のキャリア形成に大きく関わってきます。

頑張っている「今」は決して無駄ではありません。それどころか、未来の自分へのプレゼントにさえなります。今、全力で頑張れば、その努力は一生ものの財産、かけがえのない宝物になるでしょう。「雌伏雄飛(しふくゆうひ)」という言葉がある通り、今はひたすらに力を付ける雌伏の時です。機が熟せば、必ず大きく羽ばたける雄飛の時が来ます。

未来に目を向けていれば、心が折れることなく厳しい時期をやり抜けるでしょう。相談に乗る時は相手がどんな美容師になりたいのかをヒアリングし、そのために今やるべきことを再認識させると良いですね。

重大な責任へのプレッシャー

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アシスタントのうちは他のスタッフのサポートや清掃などの雑務が主な仕事ですが、スタイリストになるとカットやカラーなどの施術も担当します。サロンによっては案内から施術、会計まですべて一人でこなさなければならないでしょう。

つまり、お客様に対するすべての責任がのしかかってくるということです。始めのうちは特に、緊張したり不安を感じたりすることが多いと思います。そのせいで普段はしないようなミスをしてしまうこともあるかもしれません。時には、美容師を続けるべきか悩んでしまうこともあるでしょう。

悩みを解決するヒント

美容師の仕事は結果がすべてです。努力するだけではなく、お客様を満足させるという結果を出さなければいけません。それだけ重大な責任が伴うということになりますが、責任を恐れる必要はないのです。なぜなら、責任の大きさは信頼の大きさに比例するからです。「この人になら任せても大丈夫」とお客様にも他のスタッフにも信頼されているからこそ、責任を与えてもらえます。考え方を少し変えるだけで、プレッシャーは軽くなるのではないでしょうか。

それでも不安が拭えないようなら、できること・できないことをはっきりさせましょう。たとえばお客様との会話が上手くいかない場合は、空いている他のスタッフにも会話に入ってもらったり、反対に別のスタッフが担当しているお客様との会話に入って雰囲気を掴んだりするなどの対策が取れます。周りの協力を仰ぎながら、少しずつできることを増やしていくことが大切です。

売り上げや指名が伸びない

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美容師の世界は徹底した実力主義の世界です。スタイリストは誰もが売り上げや指名によって厳正に評価されています。そのため、多くのサロンでは歩合制を採用しており、数字が伸びなければそれだけ給料も低くなってしまいます。努力しているのに数字に表れないのはとても辛いことです。だんだん焦りが増して、大きなミスを犯したり空回りしたりしてしまうこともあります。すると、いつまで経っても売り上げや指名が伸びないという悪循環に陥ってしまうのです。

悩みを解決するヒント

明らかに本人のやる気や努力が足りていない場合は別ですが、このような状況にある人に対して強く叱りつけたり、否定的なことを言ったりしてはいけません。心の負担が増えて余計に追い詰めてしまいます。また、ただ単に「頑張れ」と言うのもやめましょう。既に頑張っている人に「頑張れ」と言うのは無責任です。

では、相談に乗る時にどうしたら良いのでしょうか。

最も大切なのは相手を認めることです。このような人は自信を失っていることが多いので、まずはその人の努力や仕事に対する姿勢をきちんと評価しましょう。そして問題解決の糸口として、その人の良いところを伝えてあげてください。たとえば、「接客中でもお客様の出入りがあれば必ず挨拶している」、「シャンプーが丁寧」、「話していると落ち着く」など、何でも構いません。お客様は技術と同じかそれ以上に美容師の人となりを重視しています。

良いところを積極的に伸ばしていけば、その長所は大きな武器になるでしょう。技術だけでなく人としての魅力を磨くことで、徐々に数字にも反映されます。

先輩・後輩との関係が上手くいかない

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これはスタイリストにもアシスタントにも共通する悩みです。サロン内の人間関係が上手くいかないと、サロンの雰囲気が悪くなるだけでなく、接客中の連携ミスにも繋がります。

このような場合は人間性に問題があるのではなく、お互いの意図が正しく伝わっていないことに原因があるケースが多いです。放っておくと「怒られるのが嫌だから」、「苦手なタイプだから」と距離を置いてしまい、さらにすれ違ってしまうこともあります。

悩みを解決するヒント

上手くいかない時こそ、密にコミュニケーションを取ることが必要です。営業前や仕事終わりにまとまった時間を取って、お互いの考えを知る機会を設けましょう。分かっていたつもりで分かっていなかったことや、誤解していたことなどが見えてくるかもしれません。

また、感情に左右されることなく理性的な判断をすることも大切です。言い方がきつくても言っている内容が正しいなら耳を傾けるべきですし、話しにくい相手だからと指導をおざなりにしてはいけません。

そもそも美容師という仕事の性質上、さまざまなお客様と接します。身近な人と良好な関係を築けなければ、お客様とも良い関係を築けるわけがありません。苦手なお客様と接する時の練習と思って接し方を意識すると良いですね。

それから、サロン内で勉強会を開くのもおすすめです。特に、複数人で一緒に取り組むワークショップ型の研修にすれば、自然な流れでコミュニケーションを促すことができます。また、仕事に対するスタンスや知識の深さなども垣間見え、お互いに対する認識が変わるきっかけになるかもしれません。

給料が少ない

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トップスタイリストなどの役職持ちを除き、多くの美容師は低賃金重労働に悩まされています。奨学金を借りた場合は返済するのに苦労するでしょうし、子どもが欲しい方は育児に時間やお金を割けるのか不安に思うこともあるでしょう。このような給料事情はすべて知ったうえで美容師になったはずですが、何か月、何年と月日を重ねるうちに焦りや不安が募るのは当然のことです。自分の働きに給料が見合っていないと感じて辞めていくアシスタントや駆け出しのスタイリストは少なくありません。

悩みを解決するヒント

サロンにもよりますが、美容師は実績によってトップスタイリスト、マネージャー、ディレクター、店長などの役職に就くことが可能です。すると、アシスタントやJrスタイリストの時とは比べ物にならないほど給料が安定します。つまり、サロンに大きな利益を与えられるほど売上に貢献すれば役職に就くことができ、給料を上げることができるのです。そのためには、練習を重ねて技術力をあげたり、人間力を磨いたりとさまざまな方面での努力が欠かせません。

一見遠回りに見えますが、目の前のことにしっかりと向き合い、一つひとつ実績を重ねていくことこそが給料アップへの近道なのです。ちなみにビューティーパークカレッジでは、過去に集客や営業に役立つコラムをいくつか公開しているので、詳しい方法についてはそちらをご参照ください。

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脚のむくみ、手荒れ、高コレステロール

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ご存じの通り、美容師の仕事はかなりハードです。その中でも脚のむくみや手荒れは代表的な職業病といわれています。原因は一日で何人ものシャンプーを担当したり、長時間立ちっぱなしで施術したりすること。美容師の仕事とは切っても切れませんが、身体が万全の状態でなければ、きちんと実力を発揮することができません。中にはハサミを持てなくなるほど手荒れが悪化して美容師を辞めた人もいます。

また、見た目からは分かりづらいですが、高いコレステロール(脂質異常症)も美容師に多い職業病の一つです。放っておくと動脈硬化が進行し、気づいた時には手遅れになっているかもしれません。

悩みを解決するヒント

まず、脚のむくみについてですが、一駅分歩くなどの運動によってふくらはぎの筋肉を鍛えたり、着圧ソックスを使用したりすることで解消できます。手荒れに関しては、こまめな保湿ケアなどの個人でできる取り組みに加え、サロン全体で行うべき業務改善方法があります。詳しくは下記の関連コラムをご覧ください。

コレステロール値のコントロールについては食事が特に重要なので、気をつけるべき食べ物や摂取したほうが良い栄養素についてアドバイスすると良いですね。これを機に、サロンの健康経営について考えてみてはいかがでしょうか。

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悩みに向き合うということ

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美容師に限らず、どんな仕事であってもその仕事ならではの悩みがあります。些細なものから深刻なものまでさまざまですが、共通しているのは解決できるのは本人だけということ。だからこそ、このコラムでは「悩みの解決方法」ではなく「悩みを解決するヒント」を提示してきたのです。同じ悩みを抱えていたとしても、どのような状況、状態になれば解決になるのかは人によって違います。ですから、周りができるのは解決するための手助けだけ。最終的に解決するのはその人自身です。

また、悩むというとあまり良いイメージはありませんが、実はそう悪いものでもありません。確かに悩んでいる時は辛く苦しいです。しかし、悩みを抱えているということは何かしらの目標に向けて努力しているという証拠でもあります。つまり、「悩んでいる=成長している」ということです。いつか今のことを振り返った時、「あの時悩んだからこそ今の自分がある」と前向きに捉え、当時の自分を誇ることができるでしょう。このように悩みをポジティブに捉えることで、解決方法も見つけやすくなりますし、自身の可能性を広げていくこともできます。

どんな内容であれ悩みと上手に向き合っていくことは、仕事に限らず人生のどの場面においても大切なことです。スタッフをきちんと悩みに向き合わせることも経営者の務め。相談された時には、そっと背中を後押ししてあげてください。