美容業界の現状

美容業は「より美しく、健康に、若々しく元気に暮らしたい」というお客様の願いを叶えるためにあると考えられます。それはエステサロン、美容院、マツエク、リラクゼーション、ネイルに至るまで美容業界共通の目標ですよね。

しかし、一方でブラックなイメージがあるのも事実です。例えば、美容師の退職率の平均値は入社三年目で72%です。サロンを変えるなども含めた離職率に至っては、10年間で92%にも登ります。

その理由は様々あるでしょうが、

  • 朝から晩までの長い勤務時間
  • 給料が低い
  • 下積みが大変
  • 手荒れや腰痛など、健康上の不調が発生しやすい
  • 休みが少ない
  • 離職率が高いので5年後、10年後の自分をイメージしにくい
  • 美容院が多く、競争率が高い
  • 人間関係や接客のストレス

など、ざっとこれだけ挙げられます。これでは美容業界はきつい、働くのが大変だというイメージが定着してもおかしくありません。

経営者目線で考えると、離職率が高いということは人材不足が慢性化し、採用コストがかかってしまうということです。それでは、どうやって従業員が気持ちよく働ける環境を整えていけばよいのでしょうか?

健康経営とは

そこで、健康経営という考え方が重要になってくるのです。これは、最近よく耳にする働き方改革の中でも特に重要視されている経営方針です。

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

(参考資料:経済産業省 – 健康経営の推進)

少しわかりにくいですが、簡単に言うと従業員の健康に投資することは社員満足度を高め、生産性の向上につながるということです。

先に挙げた長い勤務時間や取りにくく短い休み、人間関係・接客のストレスなどは全て健康上の問題を引き起こす可能性があります。美容師であれば手荒れ腰痛、腱鞘炎、エステティシャンやマッサージ師であれば腰痛。そしてストレスはうつ病など、精神疾患の原因になる恐れもあります。

健康は全ての基本です。まず、自分が健康でないと、笑顔でお客様に接客をすることも難しいですよね。しかも、従業員が不健康だと生産性が下がりますし、働く上で環境が良いとは言えません。しかも、一人の社員、スタッフが3ヶ月病欠すれば最低でも300万円の損失があると言われているのです。従業員の健康は決して従業員の自己責任ではなく、企業・サロン全体で考えて取り組むべき重要な課題であるということがわかります。

健康経営のメリット

このように、サロン・企業全体の生産性向上につながる健康経営ですが、そのほかにどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、健康からもたらされる従業員の生産性の向上は欠勤率の低下効果があります。医療コストの削減は従業員が喜ぶでしょう。社員として、自分が大切にされているのを感じるとモチベーション向上にもなります。

さらに経営者側にとってスタッフの健康を確保し、快適な職場環境を作ることは離職率の低下につながります。結果的に採用コストの削減にもなりますね。

働きやすいサロン・企業だという評判が広がると、認知度も上昇し、採用が有利になるというリクルート効果も期待できます。イメージアップになり、良い人材を確保することもできるのではないでしょうか。

従業員が健康になり、定着率が向上するとサービスの質も上がるでしょう。そうなると、顧客の定着率も上がることになり、広告コストの削減も期待できます。

アメリカでは、健康経営に対する投資1ドルに対し、3ドル分の投資リターンがあったとされているほど効果があります。ということは、従業員の健康を向上させる方がサロン・企業にとって得があるということです。ぜひ、健康経営に取り組んで行きましょう。

健康経営の具体的な取り組み

では、健康経営とはどのように実践していけば良いのでしょうか。仰々しい名前がついていますが、取り組みはさほど難しくありません。

例えば、栄養バランスの考えられたお弁当を提供するサロンなどもありますが、ここでは基本的なことからご紹介します。

まずは経営者側の心構えです。従業員をパートナーとして考えてみませんか?

ただの働く人間としてではなく、長年ケアして付き合う大切なパートナーなのです。いわば家族と同じです。家族が健康でないと心配ですし、それは率先して解決すべき課題ですよね。

健康経営は片手間でやってみることではなく、企業・サロンの根幹に関わる仕事の一部なのではないでしょうか。もちろん、自身が心身共に健康であることも重要な仕事です。

他にも具体的な取り組みについても書いていますのでご一読ください。

健康経営に取り組むことを宣言

従業員の健康を重視し、それに投資するということを宣言しましょう。さらに社会に向かって社員を大切にするという経営方針をホームページなどで伝えましょう。

トップが動かないとスタッフも動きませんし、その重要性がわかりません。

健康経営に取り組むことでどのようなメリットがあるのか、それがどう自分に跳ね返ってくるのかを経営者、従業員全体で理解することが大切です。ミーティングなどで繰り返し確認しても良いと思います。

現状を理解する

経営しているサロン・企業が従業員の健康に対してどのような課題を抱えているのかを確認し、対処しましょう。長時間労働がストレスの原因かもしれませんし、ハラスメントがあるかもしれません。

健康診断を行わないサロンも多いですが、従業員の健康意識を高くするため、重要な福利厚生として健康診断を行うことがおすすめです。

従業員自身の健康管理・セルフケアの習慣化

問題点がわかったら、あとは改善するのみです。食生活・運動習慣それぞれ一つずつ目標を決めましょう。

少しでいいのです。一駅分歩く、5分運動する。間食に気をつける、腹八分目に抑える、忙しくても絶対に朝食や昼食を食べる、など簡単なことを習慣化しましょう。

ミーティングで確認したり、スタッフ全員でストレッチなどを行なっても良いと思います。

ストレッチ方法はこちらを参考にしてみてください。

まとめ

健康経営に取り組むことはサロン・企業全体の生産性向上につながるなど様々なメリットが期待できます。

サロン・企業はスタッフの味方なのです。そしてスタッフは大切な人的資源であり、パートナー。その健康を促進することをどのように制度として落とし込むかが重要です。

活気があふれ、従業員が安心して楽しく働ける労働環境を作り、みんなで健康になろうという気持ちを持って簡単に行えることを続けて行くことが求められます。