美容サロンで働くスタッフは常にお客様と接しています。他の接客業と比較しても、一人ひとりのお客様と接する時間が長いです。そのため、常日頃からニオイのケアは欠かせません。ですが夏は汗をかきやすく、ニオイが気になる方も多いのではないでしょうか。また、夏といえば心配なのが熱中症。「冷房が効いているから大丈夫」ではないのです!今回はお客様やスタッフの全員が快適に過ごせるサロン作りについてご紹介していきます。

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ニオイが印象を左右する!記憶とニオイの意外な関係

嗅覚は五感の中でもあまり意識されることが少ないですが、実はとても重要な役割を担っています。たとえば、今までに車の芳香剤が原因で乗り物酔いをしてしまったり、鼻が詰まった時に味を感じなくなったりした経験はありませんか?

このように、嗅覚は鼻以外の他の器官や感覚とも密接に関わりあっています。特に大事なのが、ニオイが他人に与える影響です。心理学の世界においては、人の第一印象を最も左右するのがニオイだといわれています。ニオイによって無意識のうちに行動や認識を変えている場合もあるのだとか。嫌いなニオイを纏っている人に対する評価は低くなる傾向にあり、特に女性は嗅覚を重視した判断をすることが多いそうです。

しかも嗅覚は五感の中で唯一、記憶や情動などの精神作用を司る大脳に直結しています。そのため、ニオイと記憶の結びつきは非常に強く、一度「臭い人」だと思われてしまうと、ずっとその印象を抱かれ続けるのです。お客様や他のスタッフに悪印象を持たれないためにも、サロンでのニオイ対策は必須と言えます。

参考:国立国会図書館デジタルコレクション「気になるニオイ」坂井信之

汗っかきでも安心なニオイ対策

ご存じの方も多いかと思いますが、汗は本来ほとんど無臭です。ニオイの元となるアンモニアや乳酸などの成分は汗腺でろ過されます。汗をかくと臭くなるのは、皮膚表面の垢や皮脂などの汚れと汗が混ざり合ったものを細菌が分解するからです。したがって、ニオイを抑えるためには汚れを残さないことが特に大切になります。具体的な対策方法を一つずつ見ていきましょう。

清潔感を保つ

細菌のエサとなる汚れをなるべく落とすことが臭くならない近道。そのため、毎日のボディケアやスカルプケアが重要です。洗い残しが無いように毎日お風呂で丁寧に洗うことがニオイ対策の第一歩。また、汗をかいたら雑菌が繁殖しないうちにボディシートやウェットティッシュで拭き取ることが大切です。できるだけ早めに拭き取り、ニオイを発生させないようにしましょう。

朝、家を出る前にボディシートなどでサッと体を拭くのも効果的です。人は寝ている間にコップ一杯分の汗をかいています。また、若い人は新陳代謝が活発なため、皮脂の分泌も盛んです。夜の間に溜まったニオイの元となる汚れを拭き取ることで、日中のニオイを予防できます。その際使うボディシートは、抗菌剤の銀イオン(Ag+)配合のものがおすすめです。皮膚常在菌の繁殖を抑制し、防臭効果が期待できます。

デオドラント製品を活用するのも一つの手です。外出前に体を拭いた後、スティックタイプやロールオンの制汗剤を直接塗っておけば、汗染みを気にすることなく快適に過ごせます。ミストタイプやパウダータイプ、スプレータイプよりも、スティックやロールオンタイプの方が、とても防臭効果が高いです。

それでも洋服への汗染みが気になる方は、さらに腋汗パッドを使用すれば安心です。直接塗れるタイプの制汗剤はよく効きますが、家の外で塗るのは難しいでしょう。そういう時はボディシートで汗を拭った後にスプレータイプの制汗剤を使うと良いですね。

生活習慣を整える

先ほど述べた通り、基本的に汗はほとんど匂いません。ですが、生活習慣が乱れていると匂いやすい汗になってしまうのです。これは有名な話ですが、普段から適度に汗をかく習慣ができていないと汗腺の機能が衰え、ニオイ成分が多く含まれる汗をかいてしまいます。そのため、日頃から適度に運動をしたり、お風呂にゆっくり浸かったりして、汗をかく習慣をつけることが大切です。

また、ストレスによって匂いやすい汗になってしまうこともあります。ストレスによって体内の活性酸素が増加し、皮脂が酸化しやすくなってしまうのです。良い汗をかくためには定期的にストレスを発散し、溜め込まないようにしましょう。

他にも食生活が原因で臭い汗になることも……。動物性食品は消化される際にアンモニアや硫化水素、スカトールなどのニオイ成分が発生します。悪臭予防のため、健康のためにも肉類はほどほどにして、偏食しないようバランスよく食べてください。

参考:サワイ健康推進課「この時期困る! 汗っかきの原因と対策」

ニオイ対策のおすすめ品とNG行為

メンズ向けのボディーソープは消臭やニオイの抑制に効果的なものが多いです。したがってニオイが気になる場合は、女性であっても一度試してみる価値があるでしょう。

ただし、メンズ商品によくあるメンソールやアルコール系のボディーソープやシャンプーには注意が必要です。さっぱりして気持ちが良いので夏にはよく使いがちですが、揮発性が高いと乾燥の原因になってしまいます。使用する場合は、入浴後の保湿ケアをしっかり行ってください。

また、爽やかな柑橘系や石鹸の香りは悪臭を抑えてくれそうですが、汗のニオイと混ざると悪化してしまいます。ボディーソープや石鹸は、無臭・無香料タイプを使ってください。同様の理由で、ニオイが気になるからといって無闇に香水やボディーミストを振りかけないようにしましょう。

多汗症の疑いがある場合は病院へ

日常生活にも支障が出るほど大量の汗をかくという方は多汗症かもしれません。たとえば手汗の量が多すぎて書類を濡らしてしまう、道具を握っても滑りやすいという場合や、突然顔が火照って汗が止まらなくなる場合などです。

多汗症にもいくつか種類があり、何らかの疾患が原因で起こるものと、異常な発汗以外は特に健康に問題はないものがあります。これは多汗部位が全身の場合も、体の一部分の場合も同様です。もしかすると何らかの病気の副産物として多汗症を発症している可能性も考えられます。明らかに体温調節に必要な量を超える発汗が見られる場合は、速やかに専門の医療機関を受診してください。

参考:QLIFE「多汗症とは」

熱中症患者の4割は屋内で発症?!サロンでも注意すべき夏の熱中症

今年は新型コロナウイルスの影響で、夏であってもマスクが手放せません……。ウィズコロナの時代に生きる今、命を守るために欠かせないものが「マスク」、「アルコール消毒」、「フェイスシールド」だからです。いわば新しい生活様式における3種の神器とも言えるでしょう。

しかも厚生労働省の統計によると、熱中症が発生した場所の4割は屋内だといいます。涼しい室内にいるからといって必ずしも安全というわけではないのです。気がつかないうちに体の内側に熱がこもってしまったり、水分補給を怠ってしまったりと原因はさまざまですが、サロンでも熱中症になる可能性はあります。ここからはサロンでできる熱中症対策についてご紹介します。

参考:環境省 熱中症予防情報サイト「平成30年度第1回熱中症対策に係るシンポジウムの開催について」

こまめな水分補給

熱中症対策の基本は水分補給!炎天下の中ご来店くださるお客様の中には、既に汗をかいて脱水気味だったり、強い日差しに当てられて体内に熱がこもっていたりする方もいるでしょう。普段はウェルカムドリンクを提供していないというサロンでも、夏季だけはサービスしてみたらいかがでしょうか。その際、お茶は利尿作用があるものが多いので、ミネラルウォーターを提供することをおすすめします。

また、新型コロナウイルスの感染対策として使い捨てコップや200mlくらいの小さなペットボトルで提供するようにしましょう。

また、美容師の方などサロンスタッフは忙しさのあまり、水分補給を忘れてしまうことが多々あります。トイレに行きたくないからと、あえて水分を控えている方もいるでしょう。ですが、熱中症や脱水症状になると手足のしびれやめまい、吐き気などの症状が現れ、施術どころではなくなってしまいます。十分にパフォーマンスを発揮できるよう体調管理をするのもプロの仕事です。サロン内でも定期的に声がけをして水分補給しやすい環境を作れると良いですね。

ちなみに、一度にたくさん水を飲んだからといってしばらく飲まなくて良いというわけではありません。一度に体が吸収できる水分量は限られているからです。また、一度にたくさんの水分を摂取すると体液が薄まって体調不良を引き起こす恐れもあります。一回の水分補給につきコップ一杯分をめやすにして、こまめに水分を摂ってください。

ただし、水だけだと体外へ出ていったミネラルの補給ができないので、塩飴やタブレットを常備しておくのも良いですね。また、経口補水液やスポーツドリンクも活用するのもおすすめです。とはいえ、こちらも一気飲みはNG。一度に大量摂取すると、塩分や糖分の値が急激に上昇して倒れてしまいます。

熱中症はいつでも、どこでも、誰にでも起こり得ます。そのため、日頃から対策を取っておくことが非常に大切です。自社運営メディアのひとつであるえいようJoinでは、管理栄養士が熱中症を未然に防ぐために効果的な食べ物をご紹介していきます。それぞれの食材が持つ栄養効果にも着目して分かりやすく解説しているので、ぜひ毎日の食事の参考にして、上手く食生活に取り入れてください。

関連コラム:暑い夏を乗り切る!熱中症対策におすすめの食べ物やNGな飲み物とは
参考:水岡医院「水分の摂り方」

暑さを防ぐだけでは不十分?熱中症の危険度を示すWBGT

WBGTとは熱中症の危険度を判断する数値として環境省が情報提供している「暑さ指数」のことです。これは気温と湿度、輻射熱(地面や物体、生き物の体から出る熱)の3つの要素から計算されています。意外に思われるかもしれませんが、これら3要素のうち気温はたったの1割しか影響しません

最も比重が高いのは湿度で、WBGT7割を占めています。なぜなら湿度が高いと汗がなかなか蒸発できず、体内の熱を逃がすことができなくなるからです。このWBGT28℃を超えると危険度が特に高くなります。環境省が地域ごとに随時更新しているので、ぜひあなたのサロンがあるエリアのWBGTを確認してみてください。全国の数値の確認は下記の参考リンクからどうぞ。

参考:環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について」

エステサロンの体を温めるメニューに注意

エステサロンやリラクゼーションサロンには、ヒートマットやよもぎ蒸しなど、体に熱を与えて発汗を促す施術メニューを導入しているところがあります。しかし、前述したようにサロンに来た時点で水分が不足しているお客様も少なくありません。そのような状態でさらに発汗を促すのは、体にとって相当な負荷となります。施術中に体調不良に陥ったり、倒れたりするリスクを高めてしまいます。

では施術前にドリンクを提供すれば解決かというと、そういうわけにもいきません。水分が体内に吸収されるまでに約30分もかかるからです。したがって、お客様には来店前からこまめに水分補給するようお願いしておきましょう。これは施術中や施術後も同様です。水分が不足する前に適度に休憩を挟んで水分を摂取してもらうことで、安全に施術を受けていただけます。

参考:健康体力研究所Kentai「水分補給の重要性」

夏バテに似ている?夏に多いクーラー病(冷房病)とは

夏に気をつけなければいけないのは暑さだけではありません!クーラーによる冷えにも注意が必要です。しかし、クーラー病は熱中症と比べて認知が広まっておらず、夏と冷えの結びつきにくさから対策を取っている人は少ないでしょう。ですが、クーラー病は頭痛や肩こり、だるさ、不眠、下痢などの体調不良を引き起こす原因になります。あなたが夏バテと感じているものは、もしかしたらクーラー病かもしれません。

人間の体はよくできたもので、夏は体内の熱を逃がしやすいように、毛細血管を拡張して放熱しやすい体質になります。したがって、クーラーの効いた部屋にいても放熱が抑えられず、必要以上に体が冷えてしまうのです。

また、暑い屋外と冷えた室内を頻繁に行き来していると、激しい温度差に自律神経のバランスが乱れてしまいます。体温調節や発汗を司る自律神経に異常をきたすことで体温を一定に保つことが難しくなり、クーラー病としてさまざまな不調が起こるのです。

参考:医療法人 光臨会 荒木脳神経外科病院「冷房病(クーラー病)」

エアコンの設定温度や風の向き

環境省が推奨している夏の室温は28℃です。この温度であれば環境への負荷も少なく、「寒い」と感じる人はほとんどいないでしょう。だからといってクーラーの設定温度を必ずしも28℃にしなければいけないというわけではありません。室温は窓のつくりや機材、人の密集具合などにも左右されるからです。クーラーの設定温度は状況に応じてその都度調整してください。大阪府医師会は、外気温に対してマイナス57℃をめやすとして示しています。

それから、クーラーの風向きも冷え対策に重要な要素です。直接風が当たると急速に体温が奪われるので冷えやすくなります。そもそも冷たい空気は下に溜まる性質があるので、吹き出し口は一番上に向けておくと風が直接当たりにくく、効率よく室内を冷やすことができます。

クーラーの構造や設置場所の都合上、風向きの設定が難しい場合は、扇風機やサーキュレーターを利用して風の流れを変えたり、ブランケットを用意したりすると良いですね。

参考:大阪府医師会「クーラー病」

軽く体を動かす

体が冷えてしまうと血行が滞ってしまいます。特に足元は冷気が溜まりやすいうえ、心臓からも遠いので、足先は最も冷えやすい部位です。特に美容師やネイリストなどの美容サロンで働くスタッフは一日中立ちっぱなし、あるいは座りっぱなしのことが多く、血流が悪くなりやすい傾向にあります。

すると、体調不良やむくみの原因になってしまうので、なるべく体を冷やさないようにすることが大切です。また、涼しい室内にいる時は、定期的に軽くストレッチをしたり、歩き回ったりすると良いでしょう。血の巡りが促進されて、冷えを予防することができます。

むくみのケア方法については「アキレス腱ストレッチで健康に 脚のトラブル・むくみの改善方法」をご覧ください。また、むくみに効果のある食べ物や座ったままできるストレッチについて「ネイリスト・アイリストあるある!目の疲れや腰痛・むくみの解消方法」でご紹介しています。興味のある方は合わせて読んでみてください。

夏こそヘルスケアが大事!健康で快適なサロンライフを

今回はニオイと汗、熱中症とクーラー病の2本立てでご紹介してきました。夏に気になる心配事やお悩みは少しでも解消されたでしょうか?暑い中サロンに足を運んでくださるお客様に快適な時間を提供するため、スタッフの健康を守って最大限に成果を出すためにも、ぜひ取り入れられるものは積極的に取り入れて、サロンの運営に活用してもらえたらと思います。

ビューティーパークカレッジではサロンの健康経営を実現すべく、定期的なコラムの配信を始め、さまざまな施策を行っています。スタッフの健康を守り、サービスを向上させ、リピート率を高めて収益を安定させる。それが健康サロン経営です。ぜひ、知識コラムビューティーパークモールなどを活用して、サロン経営の健康化に取り組んでいただければと思います。