「客単価を上げたい」「効率よく予約を入れたい」「来店サイクルを早めたい」というのは美容院の経営者であれば誰もが感じていることではないでしょうか。今回はそんな声にお応えして、ヘッドスパに力を入れて売上をアップさせる方法をご紹介します。ヘッドスパはアシスタントでも売上に貢献できるうえ、既存メニューとのセットで提案しやすく、効率よく利益を出せるのです。ヘッドスパの上手な宣伝の仕方などを知りたい方は最後までご覧ください。

年々需要が増加するヘッドスパ

今でこそヘッドスパ専門店なども数多くありますが、ヘッドスパは割と最近になって浸透した言葉です。ここ十数年で徐々に人々の認識が広まっていき、多くの美容院で扱われる定番メニューになりました。理容室・美容室の利用状況を2000年から毎年調査している全国理美容製造者協会(NBBA)のデータによると、一年間でヘッドスパを利用する回数は年々増加傾向にあります。

美容院は女性が行く場所というイメージが強く、近年までは女性の利用客ばかりでした。しかし、ヘッドスパやスカルプケアに関心の高い男性の割合は高く、顧客層の拡大が見込めます。したがって今後もこの数字は伸びていくでしょう。ヘッドスパに人々の注目が集まっている今、商機を逃してはいけません。

全国理美容製造協会の「サロンユーザー調査」によると、最も利用率が高いのは30代であるという結果が出ています。ただし、ヘッドスパ利用者の中で集計した、一人あたりの施術回数が最も多いのは50代と60代で3.6回でした。

これは加齢によってエイジングケアを始めたお客様の影響だと思われます。ただリフレッシュするのを目的とする場合とは違い、スカルプケアは定期的に行う必要があるからです。どの層をターゲットにするかによって、目的や使用するヘアケア商品も変わるので注意しましょう。

出典:全国理美容製造者協会(NBBA)「サロンユーザー調査」
参考:厚生労働省 生活衛生関係営業の生産性向上を図るためのガイドライン・マニュアル「理容業について」

ヘッドスパを上手く売り出す方法

ヘッドスパは多くのサロンにおいてアシスタントの美容師が担当しているのではないでしょうか。普通であればアシスタントが売上を出すのはかなり難しいですが、シャンプーやヘッドスパに限定すればスタイリストより上手い人もたくさんいます。そのため、スタイリストがカット等の施術を行っている時でもアシスタントに任せられるため、サロン全体の売上がアップするのです。

では、どのように打ち出せばより多くのお客様にヘッドスパを予約してもらえるのでしょうか。その方法をまとめてお伝えします。

ヘッドスパは無駄じゃない!得られる効果をしっかり伝える

先述した通り、ヘッドスパが人気になったのは最近のことです。そのため、ヘッドスパという言葉に聞き覚えはあってもシャンプーをするのとたいして変わらないと思っている方や、ヘッドマッサージとの違いが分からないという方は少なくありません。また、頭皮や髪の健康に効果的であることは知っていても、どの程度の効果があるのかは知らない人が多いです。

それから、ヘッドスパには女性に嬉しい小顔効果(むくみ解消やリフトアップ)もあるということも、まだ一般には浸透していません。したがって、まずはヘッドスパにどのような効果があるのかを具体的に提示すると良いでしょう。ホームページや店内の目立つところに掲示したり、施術の最中に説明したりすれば、今までよりもっと多くのお客様が興味を持ってくれるはずです。

ヘッドスパの資格を取得する

ご存じの通り、ヘッドスパは美容師免許を持っている人であれば誰でも行うことができるものです。しかし、ヘッドスパに関する資格は存在します。ヘッドスパリスト、ヘッドセラピストなど呼び方はさまざまですが、所定機関の試験を受けて合格することで「ヘッドスパのプロ」という肩書きが手に入るのです。

個人のスキルアップはもちろん、サロンの権威付けにもなるでしょう。お客様からの信頼度が増しますし、「普通の美容師とは何が違うのだろう」と施術に対する期待や関心を高めることができます。

最近ではセルフブランディングのためにヘッドスパの資格を取る美容学生が増えたといいます。皆さんもぜひこの機会に資格を取得して、サロンのアピールポイントを増やしてはいかがでしょうか。

国内で取得できるヘッドスパ関連の資格については、下記リンクよりご確認ください。

一般社団法人 日本ヘッドスパ協会 (ヘッドスパリスト1級~3級/ヘッドスパリストリーダー)
一般社団法人 日本ヘッドセラピスト認定協会 (ヘッドセラピスト1級~3級/ヘッドスパニスト)
一般社団法人 ドライヘッドスパ協会 (ヘッドマイスター)

リラックスできる環境をつくる

ヘッドスパを利用する人の目的は大きく分けて3つあります。「リフレッシュするため」「頭皮ケアのため」「エイジングケアのため」です。この中の一つ、リフレッシュするためという目的を叶えるためには、居心地の良い空間をつくることが欠かせません。また、残り2つが目的のお客様であっても、気持ちよく過ごせるに越したことはないでしょう。

リラックスできる空間を整えるにあたって提案するのは以下の4つです。

個室または半個室で施術を行う

美容院は雑音で溢れています。ブローする時のドライヤーの音や電話の音、美容師やお客様の話し声などです。施術の最中は目を閉じている方がほとんどだと思いますが、その状態だと聴覚が普段より鋭敏になり、普段は聞き流している音であっても気になってしまうことが多々あります。そこで個室や半個室によって、できる限り雑音を遮断する必要があるのです。

可能であれば、ただ雑音を排除するだけでなく心を穏やかにさせるようなBGMをかけると良いと思います。ゆったりしたバラード曲を小さめの音量で流したり、風やさざ波など自然音のASMRを流したりすると、より深いリラックス効果を引き出せるのでおすすめです。

また、他人の目がほとんどない状況にすることで、より深くリラックスしてもらうことができ、施術だけに集中してもらえます。これによってお客様の満足度をさらに高めることができるのです。

暗い照明を使う

照明の色や明るさも、お客様のリラックス度に関係します。光が弱いほど副交感神経を優位にし、心身を穏やかにするので光量は控えめにしましょう。色は心を落ち着かせる暖色系のオレンジ色がおすすめです。その際に使う照明器具は、間接照明(電球の周りを覆ったり、壁や天井などに光を反射させたりして、目に直接光が届かないようにする明かり)だとよりリラックス効果が期待できますし、とてもおしゃれな雰囲気を演出してくれます。

また、目を瞑っている顔を見られるのに抵抗があるという方は多いので(特に女性)、施術している間は薄いガーゼなどで目元を覆ってあげると親切です。メイクが落ちる心配がなければホットタオルもおすすめです。

フルフラットのシャンプー台を導入する

最近はフルフラットのシャンプー台を採用する美容室が増えてきたので、もしかしたら既に導入しているかもしれませんね。フルフラット式であれば体重が分散し、無理のない姿勢でストレスなく施術を受けられます。フルフラットのシャンプー台は通常のシャンプー台に比べると値段が張りますが、美容院で起こり得る事故を未然に防ぐためにも必要です。ヘッドスパやヘアエステの流行に伴って、シャンプー台で長時間の施術を受けるお客様が増えてきました。

しかし、従来のシャンプー台では首の後ろが圧迫され続け、首を痛めたり、美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)を起こしたりする恐れがあるのです。首には脳や体の各部分に繋がる重要な神経がいくつも通っています。そのため、首に無理な負担がかかるとめまいや吐き気、手足の痺れなどの症状が起こるのです。最悪の場合、後遺症が残ったり、死亡したりする可能性もあります。

万が一あなたのサロンで施術が原因の脳卒中を起こし倒れる人が出たら、サロンのイメージは最悪なものになるでしょう。しかも、多額の損害賠償を支払わなければいけません。実際、イギリスの事例では1,000万円以上の賠償金を支払うことになったそうです。

安全のため、お客様の満足のためにも、フルフラットのシャンプー台は美容院の必需品と言えるでしょう。

ただしフルフラットならではの弱点もあり、妊娠している女性や腰痛持ちの方、腰の曲がった高齢者などには使いづらい傾向にあります。お客様によっては合わないこともあるので注意してください。

参考:J-CASTニュース「気持ちの良いシャンプーの後で卒倒 「美容室脳卒中症候群」が怖すぎる」(2016.12.19)

アロマオイルを選べるようにする

アロマテラピーという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。アロマテラピーとは、植物から抽出した精油の効能を利用して美容と健康を維持・促進する自然療法です。心身をリラックスさせたり、ストレス解消をしたりと身体に良いさまざまな効果があります。そのため、アロマオイルを使用したシャンプーやヘッドスパを行えば、よりお客様にリフレッシュしてもらうことができます。

心を穏やかに落ち着かせたい方にはラベンダー、元気で前向きな気分になりたい方にはオレンジ、という風にお客様の気分に合わせて選べるよう、いくつか種類を用意しておくと喜ばれるでしょう。また、アロマオイルを使うヘッドスパ(アロマスパ)は、もともとの施術の効果をさらに高めてくれます。

ヘッドスパによる確かな効果を感じてもらうためにもアロマオイルはおすすめです。実際、ヘッドスパ専門店ではアロマスパを導入しているところが多いので、より本格的なサービスを提供し、他の美容院と差別化を図りたい場合は、ぜひ導入を検討してみてください。

ヘアケア商品を豊富に取り揃える

頭皮に関するお悩みを抱えているお客様やエイジングケアが目的のお客様のために、それぞれの問題解決に特化したヘアケア商品を用意しておくと良いでしょう。クレンジングならこの銘柄、保湿ならこのブランドというように、一つのメーカーやブランドにこだわらずにお客様にとって最も良いものを選ぶと良いですね。

そして、どのような品を扱っているかが分かるよう、店内の目につく場所にPOPなどを作って掲示しておくと良いでしょう。POPを作成する時は「店販売上向上の工夫とは?サロン店販ポップ作成の注意点【薬機法その②】」に書かれている注意事項に気をつけて作ってください。

実際に施術で使用する商品は店販として売り出すのも効果的です。POPで目立たせたり、同じ商品を店販で扱っている旨を施術中にアピールしたりすることで、お客様の購入意欲が高まります。客単価の向上、ひいては売り上げアップにも繋がって一石二鳥です。

マイクロスコープを使う

頭皮環境の改善を望んでいるお客様に対しては、マイクロスコープを使った頭皮診断がおすすめです。カウンセリングの一環として頭皮の状態を知ることで、最適なヘッドスパ方法を提案できます。また、施術後の頭皮の様子も比較して見せれば、ヘッドスパの効果を実感してもらえるでしょう。

スマートフォンやiPadに繋ぐことのできるスコープは、インターネット上で比較的安く手に入れることができます。百貨店の化粧品売り場やヘアケアアイテムの販売店では見かけるようになりましたが、美容院でここまで手厚いサービスを行っているところはそうそうありません。他の競合サロンとの差別化として購入を検討してみてはいかがでしょうか。

ヘッドスパだけでの来店も推奨する

ヘッドスパは、カットなど他の施術のついでに頼むものという認識が根強くあります。このようにサブメニューとしての印象があるせいか、ヘッドスパのみで予約したら迷惑ではないかと考えるお客様も多いのです。ですからあなたのサロンのお客様も、次にカットするタイミングまで待とうと予約を見送っているかもしれません。

ヘッドスパは定期的に行ってこそ、効果が表れてくるものです。単体で予約しても良いのだと分かれば、もっと足繁く通ってくれる方もいるでしょう。予約サイトのトップページやメニューの近くなど、分かりやすいところに「ヘッドスパだけのご利用も歓迎」などと記しておいたほうが、サロンにとってもお客様にとっても良いと思います。

ちなみにネットやSNSで宣伝する場合には、「自粛疲れでリフレッシュしたい方におすすめ」などの時事的なキーワードを使うとさらに集客効果が上がるので、まだ試していない方はぜひサロンの宣伝文を書き換えてみてください。

また、予約に空きがある場合はサロンの入り口に「お仕事帰りにヘッドスパでさっぱり!すぐにご案内できます」などと黒板タイプの看板などに書いて、飛び込み歓迎であることを宣伝するのも効果的です。

メニューと値段の表示を変える

ヘッドスパだけでの来店もOKだと明示しているサロンに多いのが以下のような表示です。

「ヘッドスパ ○○円 ※ヘッドスパのみのご利用は別途シャンプー&ブロー料金が発生します」

しかし、この書き方だとヘッドスパだけの予約は何だか損をしている気分になりませんか?これではいくら単体での予約を推奨しても、来店するのを躊躇してしまいそうです……。もしかしたらシャンプー・ブロー込みでやってくれる他のサロンに行ってしまうかもしれません。ですから、そこを利用するのです!

「ヘッドスパ ●●円 シャンプー&ブロー込み ※他のメニューと合わせてご利用の場合はお得なセットメニューをご覧ください」

このように最初からシャンプー・ブロー込みの値段をデフォルトにし、他のメニューを予約してくださるお客様にはシャンプー・ブロー料金を割り引いたお得なセットとして売り出します。結果的に支払う金額は変わっていなくても、お客様の心持ちが大きく変わるのです。ヘッドスパのみ予約したいお客様にネガティブな印象は与えませんし、セットで予約したいお客様には得をした気分にさせることができます。

言葉というのは非常に面白いもので、まったく同じ内容であっても書き方一つでガラリと印象が変わるのです。お客様の心理的ハードルが下がるようにメニュー欄を工夫することは大切なことなので、お客様側の心境を意識した文を作ってください。

ヘッドスパは売上を支える優等生

ヘッドスパは美容院にとって比較的利益率の高いメニューです。これをサロン全体でブラッシュアップすることで、サロン全体の利益を上げることができます。「ここのサロンはヘッドスパを頼むのが定番」とお客様に印象づけられるくらいの人気メニューへと成長すれば、他のサロンに負けない強みを得られるでしょう。今回のコラムを通じてあなたのサロンが大きく発展し、多くのお客様に愛されるサロンになるよう願っています。